腸重積をきたして肛門から脱出した早期S状結腸癌の1例 本邦報告例の検討

我々は, 腸重積をきたして肛門より脱出したS状結腸癌の1例を経験した. 症例は88歳男性. 残胃癌・S状結腸癌を指摘されていたが, 高齢のため手術を希望せず経過観察中であった. 2006年2月, 排便時に肛門から結腸が脱出し, 近医を受診した. 徒手整復不可能なため, 当院に救急搬送された. 来院時, 肛門より結腸が脱出しその先端部に腫瘍を認めた. S状結腸癌を先進部とする腸重積症と診断し, 緊急手術を施行した. 腹腔側より腸管を牽引し, また会陰より圧迫しながら整復したが, 腫瘍の両側に高度のうっ血を認めたため, これを含め十分な距離を取ってS状結腸切除術を行った. 病理組織学的所見は, S...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 60; no. 4; pp. 218 - 223
Main Authors 石津, 寛之, 三木, 敏嗣, 岡田, 邦明, 益子, 博幸, 近藤, 征文, 大倉, 隆介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2007
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.60.218

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Summary:我々は, 腸重積をきたして肛門より脱出したS状結腸癌の1例を経験した. 症例は88歳男性. 残胃癌・S状結腸癌を指摘されていたが, 高齢のため手術を希望せず経過観察中であった. 2006年2月, 排便時に肛門から結腸が脱出し, 近医を受診した. 徒手整復不可能なため, 当院に救急搬送された. 来院時, 肛門より結腸が脱出しその先端部に腫瘍を認めた. S状結腸癌を先進部とする腸重積症と診断し, 緊急手術を施行した. 腹腔側より腸管を牽引し, また会陰より圧迫しながら整復したが, 腫瘍の両側に高度のうっ血を認めたため, これを含め十分な距離を取ってS状結腸切除術を行った. 病理組織学的所見は, S, Is型, 42×64mm, 高分化腺癌 (carcinoma in adenoma), pSM3, ly0, v0, pN0, Stage Iであった. 術後経過は良好で, 術後20日目に退院となった.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.60.218