老年者高血圧治療方針に関する検討-第2報 老年者高血圧の治療ガイドラインに対する専門家アンケート調査から
厚生省長寿科学総合研究事業「老年者の高血圧治療ガイドライン作成に関する研究」班が発表した老年者高血圧に対する管理・治療指針案 (『老年者高血圧の治療ガイドライン1995』) に対する高血圧専門家の評価と, 老年者高血圧治療に対する意識の変化をアンケート調査により明らかにした. 平成5年同班によって行われた老年者高血圧の治療方針に関するアンケートに回答を寄せた高血圧専門家133名を対象として, 再び郵送法によるアンケート調査を行った. ガイドライン内容の各項目について, 5段階評価を依頼し, 降圧開始血圧や目標値などの具体的な数値に関しても評価を依頼した. アンケート回収数は102名であり回収率...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 34; no. 8; pp. 631 - 638 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
25.08.1997
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Summary: | 厚生省長寿科学総合研究事業「老年者の高血圧治療ガイドライン作成に関する研究」班が発表した老年者高血圧に対する管理・治療指針案 (『老年者高血圧の治療ガイドライン1995』) に対する高血圧専門家の評価と, 老年者高血圧治療に対する意識の変化をアンケート調査により明らかにした. 平成5年同班によって行われた老年者高血圧の治療方針に関するアンケートに回答を寄せた高血圧専門家133名を対象として, 再び郵送法によるアンケート調査を行った. ガイドライン内容の各項目について, 5段階評価を依頼し, 降圧開始血圧や目標値などの具体的な数値に関しても評価を依頼した. アンケート回収数は102名であり回収率は77%であった. アンケート全体に対する評価は5点満点で平均4.3点であった. 治療対象血圧レベルおよび治療目標血圧レベルに対しては, 95%以上の専門医がガイドラインの内容に賛成を示した. 持続性Ca拮抗薬あるいはACE阻害薬を第一選択薬とするガイドラインに対しては, 68名 (約65%) が賛成を示し, 17名 (17%) が利尿薬あるいはβ遮断薬を第一選択薬に加えるべきであると回答した. 一方, 13名 (13%) がCa拮抗薬には問題点があることを明確にする必要性を述べており, 3名 (3%) がCa拮抗薬を第一選択薬から除くべきであると回答した. ガイドラインではα遮断薬とβ遮断薬を比較的禁忌薬としているが, これに対しては, 約半数がα遮断薬とβ遮断薬の有用性をあげており, 降圧薬選択に対しては, 前回のアンケート時と変化がなかった. 本ガイドラインに沿って老年高血圧患者の治療を行うことによってQOLを含めた長期予後の改善が得られるかどうかに関しては, Ca拮抗薬やACE阻害薬を含めた降圧薬の選択に対する客観的な大規模介入試験の成績が明確になるまで待たねばならない. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.34.631 |