関節円板の復位が可能なクローズド・ロックの一次診断に関する臨床的検討

クローズド・ロックの臨床診断に関して, 「開口制限の自覚」とその「直前クリックの自覚」による一次診断について検討した。一次診断でクローズド・ロックと診断された症例をAタイプ, 一次診断でクローズド・ロックと診断されなかった症例をBタイプとした。さらにBタイプを3つに細分化して, 「開口制限の自覚」はあるが「直前のクリックの自覚」がない症例をB1タイプ, 「開口制限の自覚」はないが「直前のクリックの自覚」がある症例をB2タイプ, 「開口制限の自覚」がなく「直前のクリックの自覚」もない症例をB3タイプとした。 251名の顎関節症クローズド・ロック患者について一次診断の正診率について検討した。さらに...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 10; no. 1; pp. 1 - 12
Main Authors 阿部, 正人, 塚原, 宏泰, 小野, 富昭, 榎本, 昭二, 今井, 英樹, 森田, 伸, 坂本, 一郎, 三井, 妹美, 依田, 哲也, 永石, 宏幸, 本問, 慶
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 20.04.1998
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu1989.10.1

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Summary:クローズド・ロックの臨床診断に関して, 「開口制限の自覚」とその「直前クリックの自覚」による一次診断について検討した。一次診断でクローズド・ロックと診断された症例をAタイプ, 一次診断でクローズド・ロックと診断されなかった症例をBタイプとした。さらにBタイプを3つに細分化して, 「開口制限の自覚」はあるが「直前のクリックの自覚」がない症例をB1タイプ, 「開口制限の自覚」はないが「直前のクリックの自覚」がある症例をB2タイプ, 「開口制限の自覚」がなく「直前のクリックの自覚」もない症例をB3タイプとした。 251名の顎関節症クローズド・ロック患者について一次診断の正診率について検討した。さらに, これらの各タイプに関して, 開口量, 関節雑音, X線学的骨形態変化の初診時臨床所見と臨床成績について検討した。 結果は以下の通りである。 (1) 顎関節症クローズド・ロックの一次診断の正診率は80.1%であった。 (2) 開口量が40mm以上の症例の割合は, AタイプではBタイプに比べて有意に少なかった (p<0.01), 特にB2タイプ, B3タイプよりも少なかった。 (3) 関節雑音を認めた症例の割合は, AタイプではBタイプに比べて有意に少なかった (p<0.01), 特にB2タイプ, B3タイプよりも少なかった。 (4) X線学的骨形態変化を伴う症例の割合は, AタイプではBタイプに比べて有意に少なかった (p<0.01)。 (5) 関節円板の復位 (アンロック) がされた症例の割合は, AタイプではBタイプに比べて有意に多かった (p<0.01)。 以上のことから, 「開口制限の自覚」とその「直前のクリックの自覚」という一次診断は, まずはじめに関節円板の復位を目的とした治療を行うべきクローズド・ロックに対して有用な臨床的診断であると考えられた。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu1989.10.1