ICRマウスにおける下顎頭の加齢的変化に関する形態学的観察

従来より成長に伴う顎関節の形態学的変化に関する報告も多くみられるが, 最近では高齢化社会を反映してか, 近年その加齢的変化についての報告も比較的多くみられるようになった。我々は, 顎関節疾患のうち臨床上最も多く遭遇するいわゆる顎関節症で, 35歳前後以上でX線学的に器質的変化を認める症例については, 変形性顎関節症との診断を下している。それでも, この変形性顎関節症における所見と加齢的変化との異同あるいはその評価については議論の多いところである。 一方, 顎関節内障の一部の手術材料における退行性変化に関する報告などもみられるが, ヒト顎関節の年齢変化については, 未だ不分明な点が多い。その為,...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 4; no. 2; pp. 327 - 335
Main Authors 竹之下, 康治, 平野, 裕士, 山本, 昌家, 中村, 誠司, 岡, 増一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 15.09.1992
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Summary:従来より成長に伴う顎関節の形態学的変化に関する報告も多くみられるが, 最近では高齢化社会を反映してか, 近年その加齢的変化についての報告も比較的多くみられるようになった。我々は, 顎関節疾患のうち臨床上最も多く遭遇するいわゆる顎関節症で, 35歳前後以上でX線学的に器質的変化を認める症例については, 変形性顎関節症との診断を下している。それでも, この変形性顎関節症における所見と加齢的変化との異同あるいはその評価については議論の多いところである。 一方, 顎関節内障の一部の手術材料における退行性変化に関する報告などもみられるが, ヒト顎関節の年齢変化については, 未だ不分明な点が多い。その為, 各種動物における顎関節の加齢変化に関する所見は, ヒトにおける変化を類推するのに重要な示唆を与えるものと考えられている。 そこで, 我々は今回ICR雄マウスにおける下顎頭の年齢的変化のうち, 成長後の加齢に伴う退行性変化を中心に組織学的観察を行なって報告した。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu1989.4.327