陳旧性顎関節突起骨折に対する顎関節鏡視下剥離授動術の治療経験

今回われわれは, 開口障害・関節疼痛などの顎関節機能障害を後遺した陳旧性関節包内骨折症例に対して, 関節鏡視下剥離授動術を行い, 良好な結果を得たのでその概要と術式を報告した。 適応症例は3症例で, 初診時主訴は全例顎関節疼痛と開口障害であり, 開口度は切歯間距離で25mmから35mmの間であった。術前X線検査では, 2症例で小骨折片の内方偏位を伴っていた。残りの1例は受傷2週間後に金属プレートによる整復固定術が施行されており, 骨片に偏位は認められなかった。全例, 術前に上関節腔パンピング療法を行い, 上関節腔が保持されていることを確認した。 手術は全例, 全麻下に上関節腔内の診断的鏡視なら...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 6; no. 3; pp. 371 - 383
Main Authors 瀬戸, 皖一, 亀井, 和利, 芳賀, 満理, 近藤, 寿郎, 小早川, 元博, 今村, 栄作, 伊藤, 香里
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 20.12.1994
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu1989.6.371

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Summary:今回われわれは, 開口障害・関節疼痛などの顎関節機能障害を後遺した陳旧性関節包内骨折症例に対して, 関節鏡視下剥離授動術を行い, 良好な結果を得たのでその概要と術式を報告した。 適応症例は3症例で, 初診時主訴は全例顎関節疼痛と開口障害であり, 開口度は切歯間距離で25mmから35mmの間であった。術前X線検査では, 2症例で小骨折片の内方偏位を伴っていた。残りの1例は受傷2週間後に金属プレートによる整復固定術が施行されており, 骨片に偏位は認められなかった。全例, 術前に上関節腔パンピング療法を行い, 上関節腔が保持されていることを確認した。 手術は全例, 全麻下に上関節腔内の診断的鏡視ならびに鏡視下剥離授動術を行った。関節鏡所見としては線維化, 滑膜炎, 線維性癒着, 軟骨剥離が認められた。術後経過は, 最短8か月, 最長14か月で, 全例で術前に認められた患側関節痺痛の消失, ならびに開口域の増大 (40mmから43mm) の結果が得られた。 術後のMRI所見では, 2例に良好な関節円板の可動所見が認められたが, 1例は関節円板の可動性が不良であった。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu1989.6.371