既婚, 未婚の妊婦におけるChlamydia trachomatis検出率 北海道におけるfield survey

最近, Chlamydia trachomatis感染症の一般人口への潜かな流行が注目されている. そこでわれわれは性器局所よりの抗原検出が可能な妊婦例を対象とし一般人口における流行度の調査を施行した. 既婚妊婦 (5,000例) 及び未婚の人工妊娠中絶施行女子 (317例) を対象とし, EIA法 (Chlamydiazyme) を用い施行した. 調査期間は1986年6月から1989年9月までの期間, 札幌市 (3,932例), 釧路市 (328例), 室蘭市 (280例), 北見市 (357例), 倶知安町 (220例), 浦河町 (200例) の計11産婦人科病院である. 1. 既婚妊婦...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 64; no. 7; pp. 830 - 839
Main Authors 林, 謙治, 熊本, 悦明, 広瀬, 崇興, 西村, 昌宏, 小六, 幹夫, 恒川, 琢司, 横尾, 彰文, 佐藤, 隆志, 中条, 俊博, 南, 邦弘, 川瀬, 哲彦, 明石, 英史, 岩崎, 寛治, 吉尾, 弘, 橋本, 正淑, 遠藤, 俊明, 幸田, 和男, 菅原, 照夫, 岡田, 健一, 中村, 俊夫, 津村, 典利, 桜田, 芳弘, 岩城, 雅範
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.07.1990
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Summary:最近, Chlamydia trachomatis感染症の一般人口への潜かな流行が注目されている. そこでわれわれは性器局所よりの抗原検出が可能な妊婦例を対象とし一般人口における流行度の調査を施行した. 既婚妊婦 (5,000例) 及び未婚の人工妊娠中絶施行女子 (317例) を対象とし, EIA法 (Chlamydiazyme) を用い施行した. 調査期間は1986年6月から1989年9月までの期間, 札幌市 (3,932例), 釧路市 (328例), 室蘭市 (280例), 北見市 (357例), 倶知安町 (220例), 浦河町 (200例) の計11産婦人科病院である. 1. 既婚妊婦におけるC. trachomatis検出率は, 札幌市で6.1%(222/3,666), 釧路市で7.3%(24/328), 室蘭市で6.1%(17/280), 北見市で7.8%(24/306), 倶知安町で6.8%(15/220), 浦河町で7.5%(15/200) であり地域差を認めなかった.全体では6.3%(317/5,000) の検出率であった. 2. 未婚の人工妊娠中絶施行女子におけるC.trachomatis検出率は, 札幌市で22.9%(61/266), 北見市で15.7%(8/51) と両者共に既婚妊婦と比べ高く, このような性的活動性の高い若年女子の間でのC. trachomatisの流行が示唆された. 3. 年齢別検出率は既婚妊娠では10歳代後半で21.3%, 20歳代前半で8.9%, 20歳代後半で6.3%, 30歳代前半で3.7%, 35歳以上で2.9%と, 若年者ほど検出率が高い傾向を認めた. 以上よりC. trachomatis感染症は若年婦人にかなり潜在的に流行してい ることが確認された.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.64.830