塩酸ブフォルミン内服で乳酸アシドーシスを生じた超高齢者の1例

症例は93歳男性. 10年程前より2型糖尿病にて近医通院中. HbA1cは10~12%, Crは2mg/dL前後で経過. 高齢を理由にインスリンは導入されず glibenclamide, voglibose 内服. 2003年2月よりglibenclamide, buformin 内服に変更. 2002年5月, 下腿浮腫のため furosemide 内服開始し, 改善ないため2003年3月 spironolactone を追加. 2003年5月より食事摂取不良が出現, 5/29呼吸困難, 意識障害にて当院入院. 入院時は血糖87mg/dl, HbA1c 12.5%, 腎不全 (BUN 75mg...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 42; no. 2; pp. 235 - 240
Main Authors 松浦, 貴彦, 宮尾, 益理子, 水野, 有三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 25.03.2005
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.42.235

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Summary:症例は93歳男性. 10年程前より2型糖尿病にて近医通院中. HbA1cは10~12%, Crは2mg/dL前後で経過. 高齢を理由にインスリンは導入されず glibenclamide, voglibose 内服. 2003年2月よりglibenclamide, buformin 内服に変更. 2002年5月, 下腿浮腫のため furosemide 内服開始し, 改善ないため2003年3月 spironolactone を追加. 2003年5月より食事摂取不良が出現, 5/29呼吸困難, 意識障害にて当院入院. 入院時は血糖87mg/dl, HbA1c 12.5%, 腎不全 (BUN 75mg/dl, Cre 3.9mg/dl) と高乳酸血症 (253.1mg/dl), 著明な代謝性アシドーシス (pH6.97, AG=45.3mmol/l, room air) を認めた. 乳酸アシドーシスと腎不全に対し, 炭酸水素ナトリウム剤と補液にて全身管理を行い救命し得た. 内服薬は全て中止し, インスリン導入し糖尿病コントロールは良好となったが, 今回の入院により著明なADLの低下を認め, 在宅での療養は困難と判断し, 結果的には転院となった. 本症例は高齢者糖尿病における適切な薬剤選択を考えるため示唆に富む症例と考え, ビグアナイド剤使用の危険性も踏まえ報告する.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.42.235