漸増遮閉膜にて低下した近見視力と近見立体視の関係について

弱視の立体視機能に関係する要因として低視力や抑制、不等像視などが考えられるが、今回近見立体視検査表の特徴を再認識した上で、近見視力の変化と近見立体視の関係を知るため、正常成人の片眼及び両眼の近見視力を8種類のRyser社製漸増遮閉膜にて低下させ、近見立体視検査と抑制の影響を考慮した両眼開放下での近見視力測定を行った。 近見立体視検査の結果は検査表によって異なり、solid patternがrandom dotより良好に評価された。 視力と立体視の関係で、片眼の近見視力を低下させた場合、Titmus stereo testsでは、近見視力0.3まで60Sec. of arcより良好な近見立体視を...

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Published in日本視能訓練士協会誌 Vol. 27; pp. 247 - 254
Main Authors 中川, 絵里加, 池淵, 純子, 楠部, 亨
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 日本視能訓練士協会 25.07.1999
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Summary:弱視の立体視機能に関係する要因として低視力や抑制、不等像視などが考えられるが、今回近見立体視検査表の特徴を再認識した上で、近見視力の変化と近見立体視の関係を知るため、正常成人の片眼及び両眼の近見視力を8種類のRyser社製漸増遮閉膜にて低下させ、近見立体視検査と抑制の影響を考慮した両眼開放下での近見視力測定を行った。 近見立体視検査の結果は検査表によって異なり、solid patternがrandom dotより良好に評価された。 視力と立体視の関係で、片眼の近見視力を低下させた場合、Titmus stereo testsでは、近見視力0.3まで60Sec. of arcより良好な近見立体視を維持しその後低下するのに対し、TNO stereo testでの近見立体視は、近見視力の低下にともなって徐々に低下する傾向にあった。 また両眼の近見視力を同等に低下させた場合、片眼のみ近見視力を低下させた場合より低視力にて近見立体視が得られ、またsolid patternがrandom dotよりさらに低視力にて近見立体視が可能であった。 近見立体視検査は臨床において容易にかつ簡便に行える検査であるが、solid patternとrandom dotでは、近見視力の変化に対する近見立体視の変化が異なるため、その特徴を理解したうえで両方のpatternを行うことが望ましいと考える。
ISSN:0387-5172
1883-9215
DOI:10.4263/jorthoptic.27.247