弱視治療の最終段階における遮蔽膜の有用性

弱視治療において健眼遮蔽により弱視眼の視力が改善されても,遮蔽を中止すると向上した弱視眼の視力が再び低下する症例を経験する.このことは,両眼開放下にて健眼から弱視眼への抑制が関与しているためではないかと考えられる. 我々は,不同視性弱視の弱視治療の最終段階に両眼開放視力に低下が認められた遠視性不同視性弱視7例に対し,Ryser社製遮蔽膜を用い治療を試みた.遮蔽膜の処方は両眼開放視力を重視し,弱視眼の両眼開放視力が健眼よりも優位になり,両眼視機能が維持出来る遮蔽膜を処方した.この様に処方した遮蔽膜で治療を行った結果,治療前の弱視眼の両眼開放視力は0.6から0.8であったが治療後全例1.0以上に向...

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Published in日本視能訓練士協会誌 Vol. 18; pp. 116 - 119
Main Authors 中村, 仁美, 大野, 恵美子, 松本, 富美子, 若山, 暁美, 石田, 麗子, 一柳, 知子, 楠部, 亨
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 日本視能訓練士協会 31.12.1990
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Summary:弱視治療において健眼遮蔽により弱視眼の視力が改善されても,遮蔽を中止すると向上した弱視眼の視力が再び低下する症例を経験する.このことは,両眼開放下にて健眼から弱視眼への抑制が関与しているためではないかと考えられる. 我々は,不同視性弱視の弱視治療の最終段階に両眼開放視力に低下が認められた遠視性不同視性弱視7例に対し,Ryser社製遮蔽膜を用い治療を試みた.遮蔽膜の処方は両眼開放視力を重視し,弱視眼の両眼開放視力が健眼よりも優位になり,両眼視機能が維持出来る遮蔽膜を処方した.この様に処方した遮蔽膜で治療を行った結果,治療前の弱視眼の両眼開放視力は0.6から0.8であったが治療後全例1.0以上に向上し,弱視眼の単眼視力も1.0以上に維持された.遮蔽膜による治療は,不同視性弱視の弱視治療の最終段階に有用であると考えられた.
ISSN:0387-5172
1883-9215
DOI:10.4263/jorthoptic.18.116