胆道感染症の化学療法 (XXXII) Norfloxacinの胆嚢組織内濃度, 胆汁中移行および臨床効果について

Nornoxacin (NFLX) は経口投与により高い胆汁中濃度が得られることが諸家により指摘され, 胆道感染症への臨床応用が期待されている. 我々は胆道感染症に対する治療薬として, その基礎的・臨床的検討を行った. 1) NFLX200mg1日3回3~6日間連続投与14例で血中濃度, 胆嚢組織, 胆汁中濃度を測定し, 100mgおよび200mg単回投与例と比較した. 血清中濃度は200mg連続投与でも4時間後0.61±0.09μg/mlと単回投与と変わらなかったが, 胆嚢組織内濃度は平均1-24±0.24μg/gであり, 5~6日間投与後では1.72±0.54μg/gとなった. また胆嚢胆...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 61; no. 6; pp. 681 - 703
Main Authors 谷村, 弘, 吉田, 圭介, 小林, 展章, 内山, 和久, 薄井, 祐治, 西村, 直彦, 小澤, 和恵, 北村, 次男, 伊豆蔵, 健, 田村, 尚史, 藤田, 眞一, 瀬戸山, 元一, 向原, 純雄, 尹, 光俊, 田村, 耕一郎, 寺尾, 隆太, 間嶋, 正徳, 馬庭, 芳朗, 邊見, 公雄, 山本, 雄造, 丸山, 泉, 高橋, 裕, 斎藤, 徹, 加藤, 仁司, 丸山, 啓介, 斎藤, 信雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.06.1987
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Summary:Nornoxacin (NFLX) は経口投与により高い胆汁中濃度が得られることが諸家により指摘され, 胆道感染症への臨床応用が期待されている. 我々は胆道感染症に対する治療薬として, その基礎的・臨床的検討を行った. 1) NFLX200mg1日3回3~6日間連続投与14例で血中濃度, 胆嚢組織, 胆汁中濃度を測定し, 100mgおよび200mg単回投与例と比較した. 血清中濃度は200mg連続投与でも4時間後0.61±0.09μg/mlと単回投与と変わらなかったが, 胆嚢組織内濃度は平均1-24±0.24μg/gであり, 5~6日間投与後では1.72±0.54μg/gとなった. また胆嚢胆汁中濃度は4日間投与後に15.8±7.6μg/ml (最高32.2μg/ml) となり, 胆嚢管閉塞例4例を除く10例では平均11.6±3.3μg/mlとなった. 2) 胆管胆汁におけるNFLX200mg単回投与とursodeoxycholic acid (UDCA) 300mgの併用効果について9例で測定し, 8例で最高胆汁中濃度が2.6→9.1, 6.7→15.1, 10.8→18.4μg/mlなどとUDCA併用例による胆汁中移行の促進効果を認めた. 3) 胆嚢炎16例, 胆管炎4例, 計20例にNFLX200mg1日3回3~7日間投与した臨床的検討では, 超音波の画像診断をふまえて, 臨床症状の変化, 胆汁中細菌の変遷により総合効果としてみた胆嚢炎・胆管炎に対するNFLXの有効率は, 判定可能な16例で87.5%と良好であった. 以上より, NFLXの胆嚢組織内および胆汁中移行は良好で, 殆どの起炎菌のMICを上回る濃度が得られ, 総合臨床効果も高く, 胆道感染症にも有用な薬剤の1つといえる.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.61.681