Head Rotationを用いた嚥下訓練の有用性 最近経験した副咽頭間隙の傍神経節腫の3例から

一側性の咽頭麻痺あるいは喉頭麻痺に伴う嚥下障害症例に対し, 患側方向へHead Rotation下に嚥下を行うことの有用性が指摘されている. われわれは腫瘍摘出術後に強い嚥下障害を生じた副咽頭間隙の巨大なparagangliomaの3例 (迷走神経傍神経節腫2例, 頸動脈小体腫瘍1例) を経験した. 腫瘍は下顎骨を側方離断して摘出し, また術後の気道確保の目的で全例で同時に気管切開術を施行した. これら3例の咽頭期の嚥下における嚥下障害に対し, Head Rotation下の嚥下訓練が有効であった. 咽頭期の嚥下障害が一側の咽頭または喉頭のトラブルに起因する症例に対しては, 安易に経口摂取を禁...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 102; no. 3; pp. 311 - 316
Main Authors 池間, 陽子, 廣瀬, 肇, 河野, 英浩, 平田, 佳代子, 持松, いづみ, 榎本, 浩幸, 河合, 敏, 佃, 守
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.03.1999
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.102.311

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Summary:一側性の咽頭麻痺あるいは喉頭麻痺に伴う嚥下障害症例に対し, 患側方向へHead Rotation下に嚥下を行うことの有用性が指摘されている. われわれは腫瘍摘出術後に強い嚥下障害を生じた副咽頭間隙の巨大なparagangliomaの3例 (迷走神経傍神経節腫2例, 頸動脈小体腫瘍1例) を経験した. 腫瘍は下顎骨を側方離断して摘出し, また術後の気道確保の目的で全例で同時に気管切開術を施行した. これら3例の咽頭期の嚥下における嚥下障害に対し, Head Rotation下の嚥下訓練が有効であった. 咽頭期の嚥下障害が一側の咽頭または喉頭のトラブルに起因する症例に対しては, 安易に経口摂取を禁止するのではなく, 患側にHead Rotationさせて積極的に直接的嚥下訓練を行うことは意義のあることと思われた. 複雑な一連の動作である嚥下運動の再獲得には実際に繰り返し嚥下動作を行うことが重要であり, また健側の梨状陥凹から食塊を流すことにより健側の輪状咽頭筋の廃用性の弛緩不全が予防されるからである. そして健側披裂部の代償性過内転を獲得できれば, さらに嚥下障害は改善されるであろう. 以上, 一側性の咽頭あるいは喉頭の麻痺に伴う咽頭期の嚥下障害に対して, Head Rotation下の嚥下訓練は簡易な方法であるにもかかわらず有効なリハビリ法であることを強調した.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.102.311