特定保健用食品としての中鎖脂肪酸
日本では高度経済成長による食生活の欧米化に伴い, 肥満が増加している. 肥満は生活習慣病である高脂血症, 糖尿病及び高血圧と密接に関わっており, 心疾患及び脳血管疾患を誘発すると考えられている. 肥満の最大の原因は食生活にあると言っても過言ではない. その食生活の中で, 脂肪摂取が肥満をもたらす一要因として挙げられており, 食事中の脂肪量の制限及び質の改善は肥満の予防に有用であることが認められている. 我々の研究グループは脂肪の質を重要視し, 中鎖脂肪酸に着目した. 中鎖脂肪酸の研究は, 1951年アメリカのBloom等(1)によって始められた. 彼等は, 放射線同位元素で標識した脂肪酸をラッ...
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Published in | 脂質栄養学 Vol. 15; no. 1; pp. 55 - 61 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本脂質栄養学会
2006
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ISSN | 1343-4594 |
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Summary: | 日本では高度経済成長による食生活の欧米化に伴い, 肥満が増加している. 肥満は生活習慣病である高脂血症, 糖尿病及び高血圧と密接に関わっており, 心疾患及び脳血管疾患を誘発すると考えられている. 肥満の最大の原因は食生活にあると言っても過言ではない. その食生活の中で, 脂肪摂取が肥満をもたらす一要因として挙げられており, 食事中の脂肪量の制限及び質の改善は肥満の予防に有用であることが認められている. 我々の研究グループは脂肪の質を重要視し, 中鎖脂肪酸に着目した. 中鎖脂肪酸の研究は, 1951年アメリカのBloom等(1)によって始められた. 彼等は, 放射線同位元素で標識した脂肪酸をラットに投与したところ, 炭素数12以下の脂肪酸が長鎖脂肪酸とは異なり, 胸管リンパに出現せず, 門脈中に存在することを明らかにした. その後, 動物実験をへて, 人への摂取試験が開始された. Greenberger等(2)の腸管における中鎖脂肪酸の消化吸収に関する基礎研究に加え, Hashim等(3)による人での消化吸収, 生理特性, 種々の疾患に対する適用が検討された. 本総説では中鎖脂肪酸の体脂肪低蓄積性に関する栄養特性を中心に紹介する. |
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ISSN: | 1343-4594 |