Cefotaximeに関する基礎的研究 臨床分離株感受性ならびに家兎黄色ブドウ球菌性髄膜炎における髄液中移行
新cephalosporin剤Cefotaximeは, 抗菌域が広く, グラム陰性桿菌に対してとくに強力な抗菌方を尿し, β-lactamaseに対する安定性がすぐれ, しかも毒性も低いといわれる。これらの特質は, 化膿性髄膜炎治療剤としての適格条件の一半を満たすものであり, もし必要な髄液中濃度が得られるならば, 本髭の治療に対する有用性が期待される。耐性菌の増加も加わり適切な本症治療剤が不足している今日その包含する意義は大きいので, 本剤の臨床分離株に対する最小発育阻止濃度 (MIC) を測定するとともに, 家兎黄色ブドウ球菌性髄膜炎における髄液中移行を検討した。 S. aureusに対す...
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Published in | CHEMOTHERAPY Vol. 28; no. Supplement1; pp. 73 - 80 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本化学療法学会
25.06.1980
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ISSN | 0009-3165 1884-5894 |
DOI | 10.11250/chemotherapy1953.28.Supplement1_73 |
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Summary: | 新cephalosporin剤Cefotaximeは, 抗菌域が広く, グラム陰性桿菌に対してとくに強力な抗菌方を尿し, β-lactamaseに対する安定性がすぐれ, しかも毒性も低いといわれる。これらの特質は, 化膿性髄膜炎治療剤としての適格条件の一半を満たすものであり, もし必要な髄液中濃度が得られるならば, 本髭の治療に対する有用性が期待される。耐性菌の増加も加わり適切な本症治療剤が不足している今日その包含する意義は大きいので, 本剤の臨床分離株に対する最小発育阻止濃度 (MIC) を測定するとともに, 家兎黄色ブドウ球菌性髄膜炎における髄液中移行を検討した。 S. aureusに対する本剤のMICはCefazolinより1~2管高かつたが, グラム陰性桿菌に対する抗1菌力は本剤の方がはるかにすぐれ, Paeruginosaでも接種菌量106/mlで6, 3~50μg/mlのMICであった。Cefazolin耐性E. coliに対しても本剤のMICは0.8μg/ml以下であり, またK. oxytocaにおける成績からも, 本剤がβ-lactamaseに安定であることがうかがわれた。 黄色ブドウ球菌性髄膜炎家兎に本剤100mg/kgを1回one shot静注し, その血中, 髄液中濃度測定埴から本剤のpharmacokineticsを検討すると, 髄液中濃度ピークは30分にあり, 平均6.09±1.85μg/ml, 2時間30分までの髄液中濃度曲線下面積 (AUC) は404min・μg/ml, AUC髄液血清比百分率は12.4%.髄液中濃度半減時間 (T1/2) は47.6分, T1/2髄液血清比は1.63で既報のPenicillin G, Carbenicillinの成績よりすぐれ, Ampicillinにほぼ匹敵するものと考えられた。 以上の成績は, 本剤が人の化膿性髄膜炎の治療においても十分な効果を発揮する可能性を示唆するに足るものであり, 臨床試用のための強力な基礎となると考えられる。 |
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ISSN: | 0009-3165 1884-5894 |
DOI: | 10.11250/chemotherapy1953.28.Supplement1_73 |