エラスチンとセラストロールの併用による抗腫瘍効果
エラスチン(Erastin)はフェロトーシス誘導剤であり, 種々のがん細胞に対して殺細胞効果を持つ. また, セラストロール(Cerastrol)は, 熱ショック転写因子1(HSF1)の活性化因子として同定されていたが, その後, がん細胞に対してアポトーシスを誘導し, 血管新生や転移の阻害, 抗炎症効果を示すことで抗腫瘍効果を持つことがわかってきた. しかし, セラストロールは全身性の副作用のために臨床応用は制限されている. 今回紹介するLiuらの論文では, エラスチンとセラストロールを併用することで予想しなかったメカニズムにより, がん細胞の相乗的な殺細胞効果が得られることを報告している....
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Published in | Thermal Medicine Vol. 38; no. 1; pp. 28 - 30 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本ハイパーサーミア学会
15.03.2022
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ISSN | 1882-2576 |
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Summary: | エラスチン(Erastin)はフェロトーシス誘導剤であり, 種々のがん細胞に対して殺細胞効果を持つ. また, セラストロール(Cerastrol)は, 熱ショック転写因子1(HSF1)の活性化因子として同定されていたが, その後, がん細胞に対してアポトーシスを誘導し, 血管新生や転移の阻害, 抗炎症効果を示すことで抗腫瘍効果を持つことがわかってきた. しかし, セラストロールは全身性の副作用のために臨床応用は制限されている. 今回紹介するLiuらの論文では, エラスチンとセラストロールを併用することで予想しなかったメカニズムにより, がん細胞の相乗的な殺細胞効果が得られることを報告している. 用いた細胞は3種類の非小細胞肺がん細胞(non-small-cell lung cancer cells)である. エラスチンもセレストロールも単独では約5μM以上の濃度で殺細胞効果が得られる. しかし, 単独では殺細胞効果のない濃度のエラスチン(2.5μM)とセレストロール(1.25μM)を併用処理すると大きな殺細胞効果が得られることがわかった. |
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ISSN: | 1882-2576 |