新生児期に急性腎後性腎不全に陥った先天性中部尿管狭窄症を伴う機能的単腎の1例
「要旨」中部尿管狭窄症(congenital midureteral stricture: CMS)は稀な疾患で, 約半数に他の尿路異常を合併するため尿路の詳細な評価が重要である. 今回我々は, 新生児期に急性腎後性腎不全に陥った左多嚢胞性異形成腎および右CMSの機能的単腎症例に対し, 段階的な治療を行い根治術に至ったので報告する. 症例は, 胎児期に右水腎水尿管を指摘され在胎38週に出生した男児. 日齢7に, 急性腎後性腎不全を発症し経皮的腎瘻造設術を施行した. 術後の腎瘻造影で右CMSと診断し, 腎瘻管理のトラブルを回避する目的で日齢38に下腹部に尿管皮膚瘻を造設した. 9か月時に尿管皮膚...
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Published in | 日本小児外科学会雑誌 Vol. 59; no. 2; pp. 212 - 216 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本小児外科学会
20.04.2023
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ISSN | 0288-609X |
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Summary: | 「要旨」中部尿管狭窄症(congenital midureteral stricture: CMS)は稀な疾患で, 約半数に他の尿路異常を合併するため尿路の詳細な評価が重要である. 今回我々は, 新生児期に急性腎後性腎不全に陥った左多嚢胞性異形成腎および右CMSの機能的単腎症例に対し, 段階的な治療を行い根治術に至ったので報告する. 症例は, 胎児期に右水腎水尿管を指摘され在胎38週に出生した男児. 日齢7に, 急性腎後性腎不全を発症し経皮的腎瘻造設術を施行した. 術後の腎瘻造影で右CMSと診断し, 腎瘻管理のトラブルを回避する目的で日齢38に下腹部に尿管皮膚瘻を造設した. 9か月時に尿管皮膚瘻と同一創にて右尿管膀胱新吻合術を施行した. CMSでは新生児期に急速な腎機能悪化が生じる可能性があるため十分な注意が必要である. 特に機能的単腎の場合は, 長期的予後を見据え, 早期の外科的治療を計画すべきである. |
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ISSN: | 0288-609X |