最大随意等尺性股外転筋力を得るために必要な股関節外転運動回数

健常女性15名30股(正常群)と変形性股関節症患者75例121股(患者群)において, 最大随意等尺性外転筋力(最大筋力)を得るために必要な股関節外転運動回数を求めた. 患者群は, X線像と臨床症状より, 健側群(片側性患者の正常側:26股), 臼蓋形成不全群(16股), 前期群(11股), 初期群(22股), 進行期群(36股), 末期群(10股)に分類した. 各群において80~90%の対象股から最大筋力を得るためには, 正常群, 健側群, 臼蓋形成不全群, 前期群, 初期群では少なくとも4~5回, 進行期群, 末期群では, 少なくとも8回の外転運動が必要であった. 最大筋力の発揮に6回以上の...

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Published in理学療法学 Vol. 20; no. 6; pp. 399 - 403
Main Author 坂本年将
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士協会 01.11.1993
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Summary:健常女性15名30股(正常群)と変形性股関節症患者75例121股(患者群)において, 最大随意等尺性外転筋力(最大筋力)を得るために必要な股関節外転運動回数を求めた. 患者群は, X線像と臨床症状より, 健側群(片側性患者の正常側:26股), 臼蓋形成不全群(16股), 前期群(11股), 初期群(22股), 進行期群(36股), 末期群(10股)に分類した. 各群において80~90%の対象股から最大筋力を得るためには, 正常群, 健側群, 臼蓋形成不全群, 前期群, 初期群では少なくとも4~5回, 進行期群, 末期群では, 少なくとも8回の外転運動が必要であった. 最大筋力の発揮に6回以上の外転運動を要したものは, 正常群, 健側群, 臼蓋形成不全群では全て50歳以上の症例であった. 股関節症の進行と加齢は最大筋力の発揮の遅延を引き起こす因子であると考えられた. I. 緒言 股関節外転筋(以下, 外転筋)力は, 変形性股関節症患者の下肢機能を決定する重要な因子の一つであり, その理学療法プログラムにおいて, 外転筋力増強訓練の果たす役割は大きい1-7). 筋力増強訓練において, 最大筋力の増強を目的とする場合には, できるだけ最大収縮に近い筋収縮を得ることが効果的であるとされており5)8), 外転筋力の測定および増強訓練に関する報告も, 等尺性収縮によって, より大きな外転筋力を発揮させることを目的としたものが多い1-3)6)7)9-11).
ISSN:0289-3770
DOI:10.15063/rigaku.kj00003128116