創薬における探索薬物動態スクリーニング(I)-幅広い物性を有する化合物のための吸収評価系の確立

経口吸収性は生体内利用率に影響する重要なファクターの1つであり, ヒトでの低い吸収率さらにはその個体間の大きなバラツキは, 開発候補品のディベロッパビリティーを大きく低下させる. 近年コンビナトリアルケミストリー及びハイスループットスクリーニング(HTS)の導入は幅広い生物学的ターゲットに対して効率的にリード化合物の創出を可能にしてきたが, リード化合物の経口吸収性を初め体内動態に関わる物性を悪化させた. 1-3)したがって, 創薬において吸収性に優れた開発候補品を創製するためにはリード化合物の最適化が必要となる. 吸収性は主に水に対する溶解性と膜透過性が大きく関わっており, これらのスクリー...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 125; no. 1; pp. 121 - 130
Main Authors 小村弘, 河原亥一郎, 茂本友貴枝, 松田健一, 阿野理恵子, 村山洋子, 森脇俊哉, 吉田長弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本薬学会 2005
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Summary:経口吸収性は生体内利用率に影響する重要なファクターの1つであり, ヒトでの低い吸収率さらにはその個体間の大きなバラツキは, 開発候補品のディベロッパビリティーを大きく低下させる. 近年コンビナトリアルケミストリー及びハイスループットスクリーニング(HTS)の導入は幅広い生物学的ターゲットに対して効率的にリード化合物の創出を可能にしてきたが, リード化合物の経口吸収性を初め体内動態に関わる物性を悪化させた. 1-3)したがって, 創薬において吸収性に優れた開発候補品を創製するためにはリード化合物の最適化が必要となる. 吸収性は主に水に対する溶解性と膜透過性が大きく関わっており, これらのスクリーニング系が開発されてきた. 3-5)近年その処理能力を上げるため, より簡便な比濁分析法6)や溶液沈殿法7)を用いた溶解性試験, さらにはCaco-2細胞の短期間培養法, 8, 9)N in one 10, 11)及び96 well format 8)を用いた透過性試験系が採用されている.
ISSN:0031-6903
1347-5231