地域高齢者における「閉じこもり」の頻度と指標間の一致度に関する研究

厚生労働省によると, 我が国の要介護高齢者数は, 今後ますます増加し, 2010年には虚弱高齢者が190万人に, 寝たきり高齢者は170万人に達すると試算されている(1). 特に平成12年の介護保険導入後, 当初の試算を大幅に上回るペースでの給付費の上昇による財政悪化は, 厚生行政の最重要課題となっている. そこで, 厚生労働省は介護予防の取り組みに焦点をあて, 寝たきり予防の観点から「閉じこもり」に注目し, 平成12年に「閉じこもり予防」を「介護予防, 生活支援事業」の一つとして位置づけた(2). このことから, 現在, 全国の市町村において, 社会的孤立感の解消, 要介護状態の予防を目指し...

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Published in日本衛生学雑誌 Vol. 61; no. 1; pp. 44 - 52
Main Authors 原口由紀子, 尾崎米厚, 岸本拓治, 矢倉紀子, 岡本幹三, 嘉悦明彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生学会 01.01.2006
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ISSN0021-5082

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Summary:厚生労働省によると, 我が国の要介護高齢者数は, 今後ますます増加し, 2010年には虚弱高齢者が190万人に, 寝たきり高齢者は170万人に達すると試算されている(1). 特に平成12年の介護保険導入後, 当初の試算を大幅に上回るペースでの給付費の上昇による財政悪化は, 厚生行政の最重要課題となっている. そこで, 厚生労働省は介護予防の取り組みに焦点をあて, 寝たきり予防の観点から「閉じこもり」に注目し, 平成12年に「閉じこもり予防」を「介護予防, 生活支援事業」の一つとして位置づけた(2). このことから, 現在, 全国の市町村において, 社会的孤立感の解消, 要介護状態の予防を目指し, 閉じこもり予防事業が展開されている. しかし, 現段階では, 閉じこもり状態にある地域高齢者を適切に把握する手段や, 閉じこもり状態にある高齢者に対する効果的な介入方法については, 十分な根拠をもって示されていない. まずは, 閉じこもり状態の要因, 予後に対するリスクなどの基礎資料を積み上げることが急務である.
ISSN:0021-5082