外傷性脊髄損傷に対する早期リハビリテーションの効果

脊髄損傷(以下, 脊損)患者において, 専門的リハビリテーション(以下, リハ)の必要性により良好なoutcomeが得られることが証明されており1~3), リハの開始時期についても, 包括的なリハを早期から施行することにより機能予後を良好にすることが可能である4). しかしながら, 現実には急性期病院で適切なリハがないまま, 長期間入院を経過してからリハ目的で転院の依頼を受けることもしばしば経験する. このようなリハの遅延という不適切な状況が患者の機能予後にどのような影響を与えているのか科学的に検討される必要があると考えられるが, 残念ながら本邦ではこれまで系統的な報告はなされてなかった. そ...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 40; no. 3; pp. 205 - 214
Main Authors 住田幹男, 藤本幹雄, 徳弘昭博, 富永俊克, 真柄彰, 内田竜生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 2003
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Summary:脊髄損傷(以下, 脊損)患者において, 専門的リハビリテーション(以下, リハ)の必要性により良好なoutcomeが得られることが証明されており1~3), リハの開始時期についても, 包括的なリハを早期から施行することにより機能予後を良好にすることが可能である4). しかしながら, 現実には急性期病院で適切なリハがないまま, 長期間入院を経過してからリハ目的で転院の依頼を受けることもしばしば経験する. このようなリハの遅延という不適切な状況が患者の機能予後にどのような影響を与えているのか科学的に検討される必要があると考えられるが, 残念ながら本邦ではこれまで系統的な報告はなされてなかった. そのような脊損に対するリハ効果やリハ開始時期についての調査研究が困難であった理由の1つには, 同じ脊損でも損傷の程度や神経学的高位は多様であるので, 限られた症例数の研究ではリハの効果と自然の機能回復の区別を明確にすることが困難であることも挙げられると考えられる. 労災病院としての全国的な取り組みは1992年に筆者を主任研究者とした労働福祉事業団第2種研究による第1次調査に始まった. その後, 1994~1996年に行われた第2次調査(主任研究者:富永俊克)のデータベースを元に早期リハの効果について報告してきた. 早期リハの効果についてのこれまでの報告を総括し解説したい.
ISSN:0034-351X