脳外傷リハビリテーションにおける費用効果分析

本研究では, 脳外傷者のリハについての効果を費用効果分析の視点から調査し, その問題点を提起した. 対象は脳外傷者48名(男性43名, 女性5名)で, リハの効果を入院時および退院時のFIMおよび退院時の帰結から評価し, その費用を全入院期間における保険請求点数から算出した. 初回入院患者のうち, 入院時に既に歩行が自立していた群22例および車椅子での移動が自立していた群8例および車椅子での移動が自立していなかった例18例の入院時および退院時のFIM得点は, 各々運動項目で83. 8±9. 7→89. 7±4. 1, 54. 8±17. 0→71. 2±17. 4, 24. 5±18. 4→3...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 39; no. 12; pp. 804 - 808
Main Authors 渡邉修, 大橋正洋, 橋本圭司, 安保雅博, 宮野佐年, 米本恭三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 2002
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ISSN0034-351X

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Summary:本研究では, 脳外傷者のリハについての効果を費用効果分析の視点から調査し, その問題点を提起した. 対象は脳外傷者48名(男性43名, 女性5名)で, リハの効果を入院時および退院時のFIMおよび退院時の帰結から評価し, その費用を全入院期間における保険請求点数から算出した. 初回入院患者のうち, 入院時に既に歩行が自立していた群22例および車椅子での移動が自立していた群8例および車椅子での移動が自立していなかった例18例の入院時および退院時のFIM得点は, 各々運動項目で83. 8±9. 7→89. 7±4. 1, 54. 8±17. 0→71. 2±17. 4, 24. 5±18. 4→39. 0±25. 0と改善した. 一方, 全入院費用は各々121. 1±53. 5万円, 236. 7±66. 6万円, 397. 9±430. 6万円であった. 退院後は, 1例を除き全例(1例は更生施設入所)が, 自宅での生活が達成され, 受傷前の職場または学校に復帰した例は, 各々, 6例, 2例, 0例であった. 以上のように, 脳外傷者に対する包括的リハは, 復職復学の達成および介護量の軽減という点から一定の効果をあげているが, その効果の指標として質を重視する視点も今後の課題である.
ISSN:0034-351X