難発酵性食物繊維である低分子化アルギン酸Naと発酵性食物繊維である水溶性コーンファイバーを組み合せた飲料の排便状態に及ぼす効果の検討
食物繊維は, 健康を維持する上で重要な栄養素である1, 2). 消化管機能, 特に大腸の機能を正常に保つためにはなくてはならない栄養素である3, 4). 大腸機能の1つに糞便を形成し, それを肛門側へ移送する蠕動運動がある. 蠕動運動は, 糞便そのものの体積が刺激となる物理的作用5)と, 腸内細菌により食物残渣から作られる短鎖脂肪酸(Short chain fatty acids;SCFA:酢酸, プロピオン酸, 酪酸)が刺激となる化学的作用等によって促進される6). これまでの多くの研究を通じ, 種々の食物繊維の性質および生理作用が解明されつつある. 糞便の体積を増し物理的作用を与えるには,...
Saved in:
Published in | 栄養学雑誌 Vol. 60; no. 2; pp. 85 - 91 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本栄養改善学会
01.04.2002
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-5147 |
Cover
Summary: | 食物繊維は, 健康を維持する上で重要な栄養素である1, 2). 消化管機能, 特に大腸の機能を正常に保つためにはなくてはならない栄養素である3, 4). 大腸機能の1つに糞便を形成し, それを肛門側へ移送する蠕動運動がある. 蠕動運動は, 糞便そのものの体積が刺激となる物理的作用5)と, 腸内細菌により食物残渣から作られる短鎖脂肪酸(Short chain fatty acids;SCFA:酢酸, プロピオン酸, 酪酸)が刺激となる化学的作用等によって促進される6). これまでの多くの研究を通じ, 種々の食物繊維の性質および生理作用が解明されつつある. 糞便の体積を増し物理的作用を与えるには, セルロースの様な発酵されにくい不溶性食物繊維が有効である. また, SCFAを生成し化学的作用を与えるには, ペクチンの様な発酵されやすい水溶性食物繊維が有効である7, 8). しかし, セルロースの様な不溶性食物繊維は腸内細菌による発酵を受けにくい難発酵性食物繊維であることが多く, 難発酵性食物繊維はSCFAを生成し難いことから化学的作用は少ない. 他方, ペクチンの様な水溶性食物繊維は腸内細菌による発酵を受けやすい易発酵性食物繊維であることが多く, 易発酵性食物繊維はほとんどSCFAに変換されてしまうため物理的作用は少ない. そこで, われわれは, 消化管運動を物理的作用により促進する難発酵性食物繊維と化学的作用により促進する易発酵性食物繊維を組み合せた飲料を作製し, 排便状態に及ぼす効果について検討した. |
---|---|
ISSN: | 0021-5147 |