公債の課税平準化機能 Lucas-Stokeyモデルにおける生産性の変化

本稿では,公債の課税平準化機能に関するLucas and Stokey(1983)のモデルから,不確実性を除去したうえで生産性をパラメータ化し,消費と余暇に関する分離可能な効用関数のもとで,最適税率が異時点間で一定になる条件を導出する。閉鎖経済では,消費の限界効用の弾力性と労働供給の限界不効用の弾力性がそれぞれ時間を通じて一定となることがその条件となる。他方,開放経済では,割引因子と債券価格が等しいという仮定のもとで,労働供給の限界不効用の弾力性が一定であることが条件となる。そして,関数型を特定化し,政府支出や生産性の変化が最適税率に与える影響を分析する。その結果,准線型関数や開放経済において...

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Published in財政研究 Vol. 13; pp. 117 - 131
Main Authors 小林, 航, 高畑, 純一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本財政学会 2017
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ISSN2436-3421
DOI10.50898/pfsjipf.13.0_117

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Summary:本稿では,公債の課税平準化機能に関するLucas and Stokey(1983)のモデルから,不確実性を除去したうえで生産性をパラメータ化し,消費と余暇に関する分離可能な効用関数のもとで,最適税率が異時点間で一定になる条件を導出する。閉鎖経済では,消費の限界効用の弾力性と労働供給の限界不効用の弾力性がそれぞれ時間を通じて一定となることがその条件となる。他方,開放経済では,割引因子と債券価格が等しいという仮定のもとで,労働供給の限界不効用の弾力性が一定であることが条件となる。そして,関数型を特定化し,政府支出や生産性の変化が最適税率に与える影響を分析する。その結果,准線型関数や開放経済においても,生産性が変化する場合には最適税率はかならずしも一定とならないことなどが示される。
ISSN:2436-3421
DOI:10.50898/pfsjipf.13.0_117