国立らい療養所の現状と将来
日本国内において,らい患者の90%はらい療養所に入所している。1994年末現在におけ全国の入所者数は5,811名であり,その内国立らい療養所分は5,767名である。 近年,国内において,日本人の新発生患者は10名以内に減少し,したがって療養所への新入所者は0となってきた。一方,再入所患者は年間30名前後,社会復帰者は年間15名前後ある。今後,療養所内の患者は,彼らの高齢化に伴う死亡によって,2005年には約4,000名,2015年には約2,000名,2025年には約700名に減少していくと推測される。 1994年末において,スキンスメアテストによる菌陽性者は入所者の2%となり,所内のらい対策も...
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Published in | 日本らい学会雑誌 Vol. 64; no. 2; pp. 93 - 99 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本ハンセン病学会
20.07.1995
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Summary: | 日本国内において,らい患者の90%はらい療養所に入所している。1994年末現在におけ全国の入所者数は5,811名であり,その内国立らい療養所分は5,767名である。 近年,国内において,日本人の新発生患者は10名以内に減少し,したがって療養所への新入所者は0となってきた。一方,再入所患者は年間30名前後,社会復帰者は年間15名前後ある。今後,療養所内の患者は,彼らの高齢化に伴う死亡によって,2005年には約4,000名,2015年には約2,000名,2025年には約700名に減少していくと推測される。 1994年末において,スキンスメアテストによる菌陽性者は入所者の2%となり,所内のらい対策も終息しつつあるが,しかし,入所者の約40%がいまだ治らい剤の服用をしている状況があり,まだ私達が成すべき課題は多く残っている。治らい剤服用の理由となっている再燃に対する不•らい性神経痛•虹彩炎や緑内障•らい急性反応•難治らい等に対して,各療養所個々の対処だけでは不充分であり全国的な共同対策が必要である。 また,今後において療養所内の「入所者の減少と高令化」に対する医療福祉の確保が必要となる。 |
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ISSN: | 0386-3980 2185-1360 |
DOI: | 10.5025/hansen1977.64.93 |