疑似移動層クロマト分離におけるゼオライト-溶媒選定システムの開発

本研究では,有機化合物のゼオライトへの吸着量を予測するモデルの構築を行った。対象とする有機化合物の構造記述子を説明変数,吸着量の指標である分配係数を目的変数として,GAPLS法によりゼオライト-溶媒の組合せ別に回帰モデルを構築した。結果,全182通り(ゼオライト14種×溶媒13種)の組合せのうち181通りについて,予測的説明分散Q2が0.5以上の予測性に優れたモデルを構築することができた。さらには,このモデルを用いて,擬似移動層クロマトでの分離に適したゼオライトと,溶離剤として用いる溶媒の組合せを選定するシステムを開発した。2-Adamantanoneと2-Adamantanolの分離を例に,...

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Published inJournal of Computer Aided Chemistry Vol. 12; pp. 54 - 64
Main Authors 草場, 敏彰, 宮本, 真二, 荒川, 正幹, 船津, 公人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学会・情報化学部会 2011
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Summary:本研究では,有機化合物のゼオライトへの吸着量を予測するモデルの構築を行った。対象とする有機化合物の構造記述子を説明変数,吸着量の指標である分配係数を目的変数として,GAPLS法によりゼオライト-溶媒の組合せ別に回帰モデルを構築した。結果,全182通り(ゼオライト14種×溶媒13種)の組合せのうち181通りについて,予測的説明分散Q2が0.5以上の予測性に優れたモデルを構築することができた。さらには,このモデルを用いて,擬似移動層クロマトでの分離に適したゼオライトと,溶離剤として用いる溶媒の組合せを選定するシステムを開発した。2-Adamantanoneと2-Adamantanolの分離を例に,本システムの有効性を評価した結果,本システムにより選定された組合せと,測定結果に基づき選定した組合せは概ね一致しており,本システムの有効性が確認された。本システムを利用することで,擬似移動層クロマト分離装置の設計において,ゼオライトと溶媒のスクリーニングに要する検討期間の大幅な短縮と,選定精度の向上が期待される。
ISSN:1345-8647
DOI:10.2751/jcac.12.54