下顎前方整位型スプリントの適応と治療効果 -円板形態, 関節雑音およびクリック期間との関連について
復位を伴う関節円板前方転位 (クリック) 症例に対する下顎前方整位型スプリント療法 (AR-SPRINT) の適応と有効性を診査し, それに対する円板形態, クリック音の種類, 発生時期, クリック期間などの関連性を検討した。特に, スプリント除去後下顎位を治療前の状態に戻せるのか, 円板を維持安定させるために前方位にしておかなければならないか, の判定に重点を置いて有効性を検討した。 1. クリック例の中に, AR-SPRINT療法の適応外の症例 (68関節中15関節-22%) が存在し, 円板形態はP type, 雑音種類ではcrepitus, 雑音発生時期では閉口時EARLYが特徴的に認...
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Published in | 日本顎関節学会雑誌 Vol. 2; no. 1; pp. 18 - 27 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本顎関節学会
30.06.1990
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Subjects | |
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ISSN | 0915-3004 1884-4308 |
DOI | 10.11246/gakukansetsu1989.2.18 |
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Summary: | 復位を伴う関節円板前方転位 (クリック) 症例に対する下顎前方整位型スプリント療法 (AR-SPRINT) の適応と有効性を診査し, それに対する円板形態, クリック音の種類, 発生時期, クリック期間などの関連性を検討した。特に, スプリント除去後下顎位を治療前の状態に戻せるのか, 円板を維持安定させるために前方位にしておかなければならないか, の判定に重点を置いて有効性を検討した。 1. クリック例の中に, AR-SPRINT療法の適応外の症例 (68関節中15関節-22%) が存在し, 円板形態はP type, 雑音種類ではcrepitus, 雑音発生時期では閉口時EARLYが特徴的に認められた。 2. AR-SPLINT療法の適応と判定した53関節の治療成績を検討した結果, SPLINT療法後, 顎位を治療前の位置に戻してもクリックが生じない例 (9関節-17.0%) 戻すとクリックが再発する例 (43関節-81.1%) に分類された。そして, 前者の平均クリック期間が有意に短く約12カ月であった。 以上の結果, 復位を伴う関節円板前方転位例の一般的治療の流れは下顎前方整位型スプリントにより円板を整位し安定させた後, 下顎を可及的に治療前の咬合位へ近づけるよう誘導し, 最終的に咬合が安定するようになんらかの方法で咬合再構成を行うということになり, スプリント除去後に治療前の咬合位に戻すという理想的治療の流れはごく限られた症例にしか当てはまらないことが判った。 |
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ISSN: | 0915-3004 1884-4308 |
DOI: | 10.11246/gakukansetsu1989.2.18 |