2方向性心室頻拍を含む多様な致死性不整脈を呈したアコニチン中毒の1救命例
症例は43歳, 男性. 嘔吐を主訴に当院へ救急搬送された. 救急外来で心室頻拍(VT), 心室細動(VF)を発症し, 電気的除細動は無効で経皮的人工心肺(PCPS)を導入した. アミオダロン, ニフェカラント, ランジオロール, 硫酸マグネシウムは無効であった. 冠動脈造影ではアセチルコリン負荷を含め有意狭窄はなく, 大動脈バルーンパンピング(IABP)と持続血液濾過透析を導入しCCUへ帰室した. 除細動後に多種類の2方向性VT(BVT)や単形性, および多形性VT, VFなど多彩な頻拍が持続した. 軸の変化のみならず, 交互に右脚ブロックと左脚ブロックが出現するBVTもみられた. BVTはア...
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Published in | 心臓 Vol. 43; no. SUPPL.3; pp. S3_127 - S3_132 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2011
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Subjects | |
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Summary: | 症例は43歳, 男性. 嘔吐を主訴に当院へ救急搬送された. 救急外来で心室頻拍(VT), 心室細動(VF)を発症し, 電気的除細動は無効で経皮的人工心肺(PCPS)を導入した. アミオダロン, ニフェカラント, ランジオロール, 硫酸マグネシウムは無効であった. 冠動脈造影ではアセチルコリン負荷を含め有意狭窄はなく, 大動脈バルーンパンピング(IABP)と持続血液濾過透析を導入しCCUへ帰室した. 除細動後に多種類の2方向性VT(BVT)や単形性, および多形性VT, VFなど多彩な頻拍が持続した. 軸の変化のみならず, 交互に右脚ブロックと左脚ブロックが出現するBVTもみられた. BVTはアデノシン三リン酸や, ピルジカイニド, ベラパミル, プロプラノロールにより抑制されなかった. 来院より14時間後自然と接合部調律を経て洞調律へ復帰した. 第4病日にはPCPS, IABPから離脱し, 意識回復後, 発症当日に山菜を摂食していたことが判明. 来院時の保存血清中アコニチン類濃度が13.09 ng/mLと高濃度であり, アコニチン中毒と診断した. トリカブト(アコニチン)中毒による難治性不整脈の報告はあるが波形の異なるBVTを含む多様な不整脈をきたした症例は稀であり報告した. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.43.S3_127 |