顎関節内障に対する自己牽引療法の臨床評価
マニピュレーションは顎関節内障の特に初期治療として非常に有効であり, その効果は, 単に関節円板整位に限らず, 顎関節周囲軟部組織の伸張や関節腔の拡大, これに伴う顎関節部の循環改善などがあげられる。したがってマニピュレーションのような運動を単に円板整位やアンロックの獲得にこだわらず, 持続的, 反復的に施行することにより, 関節包の柔軟化が得られる可能性があり, 顎関節内障に対する理学・運動療法として有意義と思われる。 今回われわれは, 患者自身による顎関節牽引療法 (自己牽引療法) を主体とした治療を行い, 初期治療としての治療効果, 特にロック, アンロックの診断の比較的つけやすい10代...
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Published in | 日本顎関節学会雑誌 Vol. 8; no. 1; pp. 15 - 25 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本顎関節学会
20.05.1996
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Subjects | |
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ISSN | 0915-3004 1884-4308 |
DOI | 10.11246/gakukansetsu1989.8.15 |
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Summary: | マニピュレーションは顎関節内障の特に初期治療として非常に有効であり, その効果は, 単に関節円板整位に限らず, 顎関節周囲軟部組織の伸張や関節腔の拡大, これに伴う顎関節部の循環改善などがあげられる。したがってマニピュレーションのような運動を単に円板整位やアンロックの獲得にこだわらず, 持続的, 反復的に施行することにより, 関節包の柔軟化が得られる可能性があり, 顎関節内障に対する理学・運動療法として有意義と思われる。 今回われわれは, 患者自身による顎関節牽引療法 (自己牽引療法) を主体とした治療を行い, 初期治療としての治療効果, 特にロック, アンロックの診断の比較的つけやすい10代, 20代の若年層の患者について, その臨床的評価を行ったので報告する。 対象は11-29歳 (平均20.2歳, 男性24名, 女性64名) の顎関節内障患者88名で, うちクローズド・ロック45名, 間歇的ロック18名であった。併用療法は, 数回の再診後に経過不良である患者に対し, パンピングあるいはピボットタイプスプリントの使用, さらに予後不良な場合に関節鏡視下あるいは開放剥離授動術を施行した。反復的な自己牽引療法によって, クローズド・ロック患者のうち30名に持続的 (間歇的にもロックのない) アンロックが得られた。間歇的ロック患者では, 18名中5名でロックの完全消失, 8名でロック頻度の減少が得られた。 |
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ISSN: | 0915-3004 1884-4308 |
DOI: | 10.11246/gakukansetsu1989.8.15 |