結核性腹膜炎の1例
症例は73歳男性。2004年4月下旬より,発熱,腹部膨満感を主訴とし,近医を受診, 腹水の貯留を指摘され,当院内科に入院となった。内視鏡検査,腹部CT検査では腹水の貯留以外に異常所見がみられなかったが,腹水中の結核菌polymerasechainreaction(PCR)陽性とadenosinedeaminase(ADA)が127.6U/lと高値を認めたため,結核性腹膜炎と診断され,6月1日当科に転科となった。胸部CT検査では,右側優位の胸水の貯留のみで両側肺野には異常所見は認めなかった。喀疾の抗酸菌塗抹,培養,結核菌PCRは陽性であった。最終的に結核性腹膜炎,肺結核,結核性胸膜炎と診断した。...
Saved in:
Published in | 結核 Vol. 80; no. 11; pp. 695 - 699 |
---|---|
Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | English |
Published |
一般社団法人 日本結核病学会
2005
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 症例は73歳男性。2004年4月下旬より,発熱,腹部膨満感を主訴とし,近医を受診, 腹水の貯留を指摘され,当院内科に入院となった。内視鏡検査,腹部CT検査では腹水の貯留以外に異常所見がみられなかったが,腹水中の結核菌polymerasechainreaction(PCR)陽性とadenosinedeaminase(ADA)が127.6U/lと高値を認めたため,結核性腹膜炎と診断され,6月1日当科に転科となった。胸部CT検査では,右側優位の胸水の貯留のみで両側肺野には異常所見は認めなかった。喀疾の抗酸菌塗抹,培養,結核菌PCRは陽性であった。最終的に結核性腹膜炎,肺結核,結核性胸膜炎と診断した。抗結核剤による化学療法〔isoniazid(INH),rifampicin(RFP),ethambutol(EB),pyrazinamide(PZA)〕を6カ月間施行した。治療開始2週間後にはMycobacteriaGrowthIndicatorTubeが1カ月後にはCRPが陰性化した。さらに治療開始2カ月後には胸水が,3カ月後には腹水が消失した。結核性腹膜炎は比較的稀な疾患であるが,原因不明の腹水症例に遭遇した場合には本症の存在も念頭において,侵襲的な腹腔鏡検査を施行する前に腹水申の結核菌PCRやADAを測定することが早期診断に必要であると考えられた。 |
---|---|
ISSN: | 0022-9776 1884-2410 |
DOI: | 10.11400/kekkaku1923.80.695 |