顎関節パンピングマニピュレーション療法の適応とその後の咬合管理に関する臨床的検討

われわれは, 1991年11月より非復位性関節円板前方転位症例を対象として放射線科, 補綴科による共同治療を行っている。今回報告するのは, 放射線科によるパンピングマニピュレーションと補綴科における咬合管理を行った初期症例34症例37関節についてである。 パンピングマニピュレーションにより23関節に復位が得られたが, 動的治療終了時に整位が得られていたものは6関節, 復位が得られていたものは3関節であった。しかし, 開口量の改善はすべての症例で良好で全体の平均は44.9mmであった。さらに, 以下の知見を得た。 (1) 最終的に円板の整位が得られていた症例は治療期間が短く, 開口量の改善も良好...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 8; no. 1; pp. 50 - 61
Main Authors 宮本, 諭, 今中, 正浩, 駒橋, 武, 湯浅, 雅夫, 伊藤, 孝介, 亀井, 秀, 細田, 裕, 木村, 由美, 山本, 昭, 高瀬, 英世, 小林, 馨, 荒木, 次朗, 小川, 匠, 福島, 俊士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 20.05.1996
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu1989.8.50

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Summary:われわれは, 1991年11月より非復位性関節円板前方転位症例を対象として放射線科, 補綴科による共同治療を行っている。今回報告するのは, 放射線科によるパンピングマニピュレーションと補綴科における咬合管理を行った初期症例34症例37関節についてである。 パンピングマニピュレーションにより23関節に復位が得られたが, 動的治療終了時に整位が得られていたものは6関節, 復位が得られていたものは3関節であった。しかし, 開口量の改善はすべての症例で良好で全体の平均は44.9mmであった。さらに, 以下の知見を得た。 (1) 最終的に円板の整位が得られていた症例は治療期間が短く, 開口量の改善も良好であった。 (2) 円板整位・復位率に影響する因子としては円板の転位程度, 変形, 癒着, 穿孔といった器質的要因の影響が強かった。 (3) したがって, パンピングマニピュレーション療法の適応は円板整位の可能性の高い症例, すなわち円板の高度な器質的変化を伴わない症例と思われる。 (4) 咬合管理は全治療過程を通して咬合位を前方に誘導する処置が選択されることが多く, 最終的に34症例中16症例に顎位の変更がなされ, 25症例になんらかの処置が行われていた。 (5) 顎位変更は原則として整位が得られた症例に限り行い, 処置内容もできる限り小範囲にすべきである。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu1989.8.50