新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下における「オンデマンド型」大学体育実技授業の学修成果に影響を及ぼす要因の検討 運動行動変容ステージに注目して

新型コロナウイルス感染症の感染者数や重症者数が増加する中にて,大学では遠隔授業の実施を余儀なくされた.本研究では西田ほか(2021a)の知見を踏まえ,「オンデマンド(OD)型」体育実技授業の学修成果として,主観的恩恵および身体活動について検討した.加えて,OD型体育実技授業の影響要因として運動行動変容ステージに注目し,学修成果の差異を検討した.2020年度前期に一般体育実技授業を受講した学生を対象としてPBS-FYPE(西田ほか,2016),IPAQ(村瀬ほか,2002),そして運動行動変容ステージ(岡,2003)等をWeb調査した.2,687名の回答を分析した結果,「規則的な生活習慣」を除く...

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Published in大学体育スポーツ学研究 Vol. 19; pp. 1 - 14
Main Authors 平工, 志穂, 木内, 敦詞, 小林, 雄志, 中山, 正剛, 園部, 豊, 田原, 亮二, 難波, 秀行, 西田, 順一, 西垣, 景太, 西脇, 雅人, 中田, 征克
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 全国大学体育連合 2022
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ISSN2434-7957
DOI10.20723/jpeshe.19.0_1

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Summary:新型コロナウイルス感染症の感染者数や重症者数が増加する中にて,大学では遠隔授業の実施を余儀なくされた.本研究では西田ほか(2021a)の知見を踏まえ,「オンデマンド(OD)型」体育実技授業の学修成果として,主観的恩恵および身体活動について検討した.加えて,OD型体育実技授業の影響要因として運動行動変容ステージに注目し,学修成果の差異を検討した.2020年度前期に一般体育実技授業を受講した学生を対象としてPBS-FYPE(西田ほか,2016),IPAQ(村瀬ほか,2002),そして運動行動変容ステージ(岡,2003)等をWeb調査した.2,687名の回答を分析した結果,「規則的な生活習慣」を除く全下位尺度にて同時双方向(RT)型に比べOD型体育実技授業の主観的恩恵が有意に低値であった.また,身体活動では全身体活動指標においてRT型に比べ,OD型体育実技授業が一貫して低値を示した.さらに,運動行動変容ステージからみたOD型体育実技授業の主観的恩恵について,男性では概ね「無関心期および関心期」と「準備期,実行期」,そして,「維持期」の間に有意な得点差がみられ,運動行動変容ステージ後期ほど高値であった.「総身体活動量」は男女とも,無関心期と関心期に比べ準備期が,また準備期に比べ実行期が有意に高値であった.本研究の限界と今後の課題が議論された.本研究の知見は,OD型体育実技授業にて学修成果の改善を図る上で有益な情報と捉えられた.
ISSN:2434-7957
DOI:10.20723/jpeshe.19.0_1