上肢切断者に対するリハビリテーションの実態と問題点

“手は, 表にあらわれた脳髄である”というカントの言葉があるように, 「手」は我々にとって人間らしく生きるためにもつとも重要な器官である. この「手」を失った人々が, 上肢の機能を再建し, 再び人間らしく生活出来る能力を回復して, 生きがいのある人生を送ることが出来るように努力することが, 上肢切断に対するリハビリテーションの目的である. しかし残念なことに, わが国では上肢切断のみならず上肢の障害全般に対する関心が決して高いとは言えないのはなぜだろうか. 例えば, 脳血管障害による片麻痺の上肢に対して「廃用手」とか「補助手」といった言葉が発症早期から安易に用いられ, 患手の機能回復に汗を流す...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inリハビリテーション医学 Vol. 34; no. 1; pp. 60 - 69
Main Author 中島咲哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 01.01.1997
Online AccessGet full text
ISSN0034-351X

Cover

More Information
Summary:“手は, 表にあらわれた脳髄である”というカントの言葉があるように, 「手」は我々にとって人間らしく生きるためにもつとも重要な器官である. この「手」を失った人々が, 上肢の機能を再建し, 再び人間らしく生活出来る能力を回復して, 生きがいのある人生を送ることが出来るように努力することが, 上肢切断に対するリハビリテーションの目的である. しかし残念なことに, わが国では上肢切断のみならず上肢の障害全般に対する関心が決して高いとは言えないのはなぜだろうか. 例えば, 脳血管障害による片麻痺の上肢に対して「廃用手」とか「補助手」といった言葉が発症早期から安易に用いられ, 患手の機能回復に汗を流す努力が一般的に希薄であることもその典型の一つである.
ISSN:0034-351X