水治療における水温の血小板および凝固線溶系に及ぼす影響
水治療の対象者は血栓性疾患の危険因子を有する場合が多い. 水浴と血栓性疾患との関連性を研究する目的で, 入浴負荷可能な健常成人男性10例を対象として40℃20分浴と42℃10分浴の血小板および凝固線溶系に及ぼす影響を検討した. 40℃20分浴では組織プラスミノーゲン活性化因子抗原(tPA)が増加し, プラスミノーゲン活性化因子インヒビター1抗原(PAI-I)が減少する傾向が, 42℃10分浴ではHt,tPA,PAI-Iが増加する傾向が見られたが有意な差ではなかった. 血小板に対する影響はなかった. 以上の成績から40~42℃の水温による水治療は血小板および凝固線溶系には影響を与えないと考えられ...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 38; no. 1; pp. 34 - 37 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
2001
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 水治療の対象者は血栓性疾患の危険因子を有する場合が多い. 水浴と血栓性疾患との関連性を研究する目的で, 入浴負荷可能な健常成人男性10例を対象として40℃20分浴と42℃10分浴の血小板および凝固線溶系に及ぼす影響を検討した. 40℃20分浴では組織プラスミノーゲン活性化因子抗原(tPA)が増加し, プラスミノーゲン活性化因子インヒビター1抗原(PAI-I)が減少する傾向が, 42℃10分浴ではHt,tPA,PAI-Iが増加する傾向が見られたが有意な差ではなかった. 血小板に対する影響はなかった. 以上の成績から40~42℃の水温による水治療は血小板および凝固線溶系には影響を与えないと考えられた. 一般に, 脳梗塞や心筋梗塞などの血栓性疾患の発症には血圧や心拍数の変動, 動脈硬化, 血管内皮細胞障害, 血液粘度, 精神的身体的ストレスなどが関与していると推定されているが, 最近, 血栓症の誘因として血小板や凝固系の活性や線溶系の抑制が注目されている. |
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ISSN: | 0034-351X |