高齢者脊髄損傷の予後

アメリカのModel systemは, 1970年に基金が設立され, 受傷後24時間以内の収容を原則とした脊髄損傷治療システムで, 総称をModel Spinal Cord Injury Systems Programという. そのセンターでの報告1)では近年20年間に高齢者発症の外傷性脊髄損傷者の割合は4.5%から8.5%まで増大して来ている. 我々の施設においても新規入院脊髄損傷患者の中で高齢者の占める割合は増加傾向にあり, なかでも頸髄損傷が多く, 骨傷のない, また人工呼吸器依存の高齢者脊髄損傷の増加が目立つようになってきている. 生理的な加齢に伴い多くの合併症を持った, さらに転倒な...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 5; pp. 282 - 291
Main Author 住田幹男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 2000
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Summary:アメリカのModel systemは, 1970年に基金が設立され, 受傷後24時間以内の収容を原則とした脊髄損傷治療システムで, 総称をModel Spinal Cord Injury Systems Programという. そのセンターでの報告1)では近年20年間に高齢者発症の外傷性脊髄損傷者の割合は4.5%から8.5%まで増大して来ている. 我々の施設においても新規入院脊髄損傷患者の中で高齢者の占める割合は増加傾向にあり, なかでも頸髄損傷が多く, 骨傷のない, また人工呼吸器依存の高齢者脊髄損傷の増加が目立つようになってきている. 生理的な加齢に伴い多くの合併症を持った, さらに転倒などの軽微な外傷のように受傷機転の異なる高齢時発症者と, 脊髄損傷という病的状態下での加齢による脊髄損傷患者の老齢化とは区別して考慮する必要がある2,3). 本稿では前者を中心に詳述する.
ISSN:0034-351X