失語症非訓練例の回復について

言語訓練をうけることができなかった脳血管障害による失語症患者30例を対象に, 失語症状の自然経過を経時的に評価し, 年齢, 性, 原因疾患, 失語症タイプ等との関係を検討した. 言語理解は, 健忘型で3カ月まで改善を認め, 他のタイプでは6カ月以降にも改善を認めた. 発話は, 健忘型で3カ月まで, 表出型, 受容型では6カ月以降にも改善を認めた. 表出―受容型は初期よりほとんど改善を認めなかった. 書字は表出―受容型を除くすべてのタイプで3~6カ月以降にも改善を認めたが, 表出―受容型では初期より改善を認めなかった. 重度の失語症では, 非訓練例は訓練例のような改善を認めないため, 体系的な言...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 29; no. 2; pp. 123 - 130
Main Authors 前島伸一郎, 種村純, 重野幸次, 長谷川恒雄, 馬場尊, 今津有美子, 梶原敏夫, 土肥信之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 01.02.1992
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ISSN0034-351X

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Summary:言語訓練をうけることができなかった脳血管障害による失語症患者30例を対象に, 失語症状の自然経過を経時的に評価し, 年齢, 性, 原因疾患, 失語症タイプ等との関係を検討した. 言語理解は, 健忘型で3カ月まで改善を認め, 他のタイプでは6カ月以降にも改善を認めた. 発話は, 健忘型で3カ月まで, 表出型, 受容型では6カ月以降にも改善を認めた. 表出―受容型は初期よりほとんど改善を認めなかった. 書字は表出―受容型を除くすべてのタイプで3~6カ月以降にも改善を認めたが, 表出―受容型では初期より改善を認めなかった. 重度の失語症では, 非訓練例は訓練例のような改善を認めないため, 体系的な言語訓練が必要と思われた. はじめに 失語症における「自然回復」とは, 組織的な言語訓練によらずに言語症状が回復することをいう22).
ISSN:0034-351X