義足の進歩と今後の課題

切断原因の変化と末梢血行障害の問題点 急速な高齢社会の到来につれて切断原因の変化(四肢悪性腫瘍による切断の減少, 末梢血行障害の増加)が著明になった. 特に慢性動脈閉塞疾患(閉塞性動脈硬化症ASO, 糖尿病性血管症DM)による虚血肢の対策が高まりつつある. 薬物療法, フットケア, 血行再建術が行われるが, わが国の血管外科医は血行再建術にもかかわらず壊死を回復できない場合に血管造影所見にこだわりがちであり, 切断部位の決定, 術後の義足装着に支障を来す例が散見される. 表1はイギリスDundee Limb Fitting Center1)とわが国のASO患者2)の血行再建術有無別にみた予後と...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 36; no. 5; pp. 324 - 326
Main Author 加倉井周一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 1999
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ISSN0034-351X

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Summary:切断原因の変化と末梢血行障害の問題点 急速な高齢社会の到来につれて切断原因の変化(四肢悪性腫瘍による切断の減少, 末梢血行障害の増加)が著明になった. 特に慢性動脈閉塞疾患(閉塞性動脈硬化症ASO, 糖尿病性血管症DM)による虚血肢の対策が高まりつつある. 薬物療法, フットケア, 血行再建術が行われるが, わが国の血管外科医は血行再建術にもかかわらず壊死を回復できない場合に血管造影所見にこだわりがちであり, 切断部位の決定, 術後の義足装着に支障を来す例が散見される. 表1はイギリスDundee Limb Fitting Center1)とわが国のASO患者2)の血行再建術有無別にみた予後と切断部位を比較したものであるが, 前者の大腿切断/下腿切断比が1:1.72~3.1であるのに比べ, 後者は2.25~3.11:1と圧倒的に大腿切断が多い. 高齢大腿切断者の義足使用率が低いことから, 下腿切断の一次的創治癒が得られない場合は安易に大腿切断にはしることなく手術侵襲が少ない膝離断を検討するなど, 術前からのリハビリテーション医と血管外科医の密接な連携が強く望まれる.
ISSN:0034-351X