人工初期齲蝕に対する超音波QスイッチNd: YAGレーザー照射の影響について

ヒトの新鮮健全披去歯の頬側面に作成した人工初期齲蝕 (白斑) に, 超音波QスイッチNd: YAGレーザーを照射し, 歯質の変化, 耐酸性について主として形態学的に検索した。走査型電子顕微鏡による観察から, レーザー照射後, 酸処理した白斑の表面と割断面およびレーザー照射後14日間脱灰液に浸漬した白斑の表面と割断面は, いずれも平滑な像を呈しており, 耐酸性があることが明らかになった。また, レーザー照射白斑を14日間脱灰液に浸漬したものをアイクロラジオグラフィで観察すると表層下に広範なX線不透過像が認められ, 一部の標本では, 層板構造が認められた。またレーザー照射白斑の経時的な脱灰実験では...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 24; no. 4; pp. 913 - 925
Main Author 佐藤, 秀人
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 歯科基礎医学会 20.12.1982
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ISSN0385-0137
DOI10.2330/joralbiosci1965.24.913

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Summary:ヒトの新鮮健全披去歯の頬側面に作成した人工初期齲蝕 (白斑) に, 超音波QスイッチNd: YAGレーザーを照射し, 歯質の変化, 耐酸性について主として形態学的に検索した。走査型電子顕微鏡による観察から, レーザー照射後, 酸処理した白斑の表面と割断面およびレーザー照射後14日間脱灰液に浸漬した白斑の表面と割断面は, いずれも平滑な像を呈しており, 耐酸性があることが明らかになった。また, レーザー照射白斑を14日間脱灰液に浸漬したものをアイクロラジオグラフィで観察すると表層下に広範なX線不透過像が認められ, 一部の標本では, 層板構造が認められた。またレーザー照射白斑の経時的な脱灰実験では, このような層板構造が比較的早期に出現し, 徐々にX線不透過像が増大し再石灰化現象と類似した所見を呈することが認められた。 以上の結果から, 超音波QスイッチNd: YAGレーザーの照射は, 白斑の脱灰進行抑制に有用であることが示唆された。
ISSN:0385-0137
DOI:10.2330/joralbiosci1965.24.913