徐拍性不整脈の臨床電気生理学的研究 第1編 : 洞機能不全症候群の房室伝導機能について

洞機能不全症候群 (SSS) には未だ原因不明のものがかなり存在している。それらと関連し, SSSの病変部位が洞結節のみでなく房室結節部にも及んでいる例が多いと考えられている。そこでSSS50例でヒス束電位図所見からP-A, ST-A, A-H, H-Vの各伝導時間及び右心房刺激によるA-H時間の反応を検討し, 更にこれらの症例で4ケ月-9年11ケ月の経過観察を行い房室ブロックへの進展について検討した。各部位での伝導時間の延長例は, P-A時間27%, ST-A時間48%, A-H時間22%, H-V時間6%, 右心房刺激130/分以下の頻度でWenckebach型2度房室ブロックを44%に認...

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Published in順天堂医学 Vol. 28; no. 3; pp. 338 - 349
Main Author 桜井, 秀彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 順天堂医学会 1982
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ISSN0022-6769
2188-2134
DOI10.14789/pjmj.28.338

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Summary:洞機能不全症候群 (SSS) には未だ原因不明のものがかなり存在している。それらと関連し, SSSの病変部位が洞結節のみでなく房室結節部にも及んでいる例が多いと考えられている。そこでSSS50例でヒス束電位図所見からP-A, ST-A, A-H, H-Vの各伝導時間及び右心房刺激によるA-H時間の反応を検討し, 更にこれらの症例で4ケ月-9年11ケ月の経過観察を行い房室ブロックへの進展について検討した。各部位での伝導時間の延長例は, P-A時間27%, ST-A時間48%, A-H時間22%, H-V時間6%, 右心房刺激130/分以下の頻度でWenckebach型2度房室ブロックを44%に認め, 上室性の伝導異常が多かった。特に房室結節での伝導異常を46%に認めた。しかし, 経過中新たな房室ブロックの出現はなく, 慢性心房細動に移行した8例でも徐脈を示したものはなかった。このようにSSSで房室結節に何んらかの電気生理学的異常を示したものでも, 新たな房室ブロック例はなく, 慢性心房細動移行例ではPacemaker治療の中止が可能であった。又, 3度房室ブロックにSSSの合併が存在しなかったことからも, 現行の方法で将来の房室ブロックを予測することは妥当でなく, 更にPacing部位決定の手段としても不適当である。又, SSSの自然歴の報告が少ない現状であるが, SSSの一部にはterminal stageとして慢性心房細動に固定するものがあり, Pacemakerの除去が可能であることを強調した。
ISSN:0022-6769
2188-2134
DOI:10.14789/pjmj.28.338