緊張異常児の緊張の強さと運動発達との関係について

脳性麻痺の治療の目的である運動能力の獲得に対し, 現在行われている反射を抑制する手技の効果を検討する目的で調査を行った. 対象は緊張異常児56例であった. その結果, H波頻度抑制の値と運動能力とは相関が認められなかった. しかし, 皮膚反射における脳皮質を介する反射の発達がほぼ同程度の症例の間では, 運動能力の低いものほど高頻度刺激によるH波頻度抑制の値が大きかったが, 低頻度刺激では一定の関係は認められなかった. 反射抑制姿勢をとると, H波頻度抑制曲線では低頻度刺激の値が減少することは既に報告したが, それに従えば, 反射抑制は運動能力獲得の大きな要因とは言えない. むしろ皮膚反射やγ系...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 22; no. 5; pp. 305 - 311
Main Authors 黒坂ふみよ, 黒坂武司, 紺野勉, 和田次郎, 久保田亘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 01.09.1985
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ISSN0034-351X

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Summary:脳性麻痺の治療の目的である運動能力の獲得に対し, 現在行われている反射を抑制する手技の効果を検討する目的で調査を行った. 対象は緊張異常児56例であった. その結果, H波頻度抑制の値と運動能力とは相関が認められなかった. しかし, 皮膚反射における脳皮質を介する反射の発達がほぼ同程度の症例の間では, 運動能力の低いものほど高頻度刺激によるH波頻度抑制の値が大きかったが, 低頻度刺激では一定の関係は認められなかった. 反射抑制姿勢をとると, H波頻度抑制曲線では低頻度刺激の値が減少することは既に報告したが, それに従えば, 反射抑制は運動能力獲得の大きな要因とは言えない. むしろ皮膚反射やγ系の改善が必要と考えられる.
ISSN:0034-351X