興味ある経過をたどった特発性髄液耳漏の2症例

内耳奇形を伴わない特発性髄液耳漏の2症例を報告する。 第1例は33歳, 女性。右慢性単純穿孔性中耳炎の鼓膜穿孔閉鎖, 聴力改善を目的に受診した。鼓室は湿潤状態である以外には特記すべき所見なく, 鼓室形成術を施行した。手術時, 鼓室内に入ると下鼓室に透明な液体が貯留してくるのが観察され, 乳突洞深部後方より髄液の漏出を認めた。 第2例は34歳, 女性。鼻をかんだ後, バリバリという音がして, 約3時間後に大量の血性耳漏が出現した。耳後切開で外耳道皮膚を剥離していくと出血, 耳漏が多く, 外耳道を削除して乳突削開を施行したところ, 乳突洞後壁より膿が拍動性に出てきたが, 特に処置を施さないうちに髄...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 37; no. 6; pp. 685 - 690
Main Authors 太田, 正治, 望月, 元博, 本多, 芳男, 菊池, 康隆, 富谷, 義徳, 矢部, 武
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.12.1994
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo1958.37.685

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Summary:内耳奇形を伴わない特発性髄液耳漏の2症例を報告する。 第1例は33歳, 女性。右慢性単純穿孔性中耳炎の鼓膜穿孔閉鎖, 聴力改善を目的に受診した。鼓室は湿潤状態である以外には特記すべき所見なく, 鼓室形成術を施行した。手術時, 鼓室内に入ると下鼓室に透明な液体が貯留してくるのが観察され, 乳突洞深部後方より髄液の漏出を認めた。 第2例は34歳, 女性。鼻をかんだ後, バリバリという音がして, 約3時間後に大量の血性耳漏が出現した。耳後切開で外耳道皮膚を剥離していくと出血, 耳漏が多く, 外耳道を削除して乳突削開を施行したところ, 乳突洞後壁より膿が拍動性に出てきたが, 特に処置を施さないうちに髄液の漏出が停止した。可及的に粘膜を除去し, 術創を開放したまま手術を終了し, 髄液の漏出がない事を確認し約1ヵ月後にランボーの充填術を施行した。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo1958.37.685