新キノロン系抗菌薬gatifloxacinのメラニン親和性と有色ウサギにおける眼内動態

新キノロン系抗菌薬gatifloxacin (GFLX) のメラニン親和性を他の同系薬chloroquineおよびbefunololと比較した。また, HPLCによるメラニン含有眼組織内のGFLX濃度測定法を確立した後, その方法を用い, 有色ウサギにおける本薬の眼内動態を検討した。 1. 牛眼由来の酸不溶性メラニン (0.1mg/mL) に対する結合率はchloroquineが最も強く, ついでbefunolol, ciprofloxacin, norfloxacinまたはpefloxacin, ofloxacin, lomefloxacinまたはGFLX, fleroxacinの順であった...

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Published in日本化学療法学会雑誌 Vol. 47; no. Supplement2; pp. 166 - 174
Main Authors 草嶋, 久生, 大久保, 秀夫, 伊澤, 成, 小関, 望, 堀, 弥, 小室, 正勝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 27.09.1999
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ISSN1340-7007
1884-5886
DOI10.11250/chemotherapy1995.47.Supplement2_166

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Summary:新キノロン系抗菌薬gatifloxacin (GFLX) のメラニン親和性を他の同系薬chloroquineおよびbefunololと比較した。また, HPLCによるメラニン含有眼組織内のGFLX濃度測定法を確立した後, その方法を用い, 有色ウサギにおける本薬の眼内動態を検討した。 1. 牛眼由来の酸不溶性メラニン (0.1mg/mL) に対する結合率はchloroquineが最も強く, ついでbefunolol, ciprofloxacin, norfloxacinまたはpefloxacin, ofloxacin, lomefloxacinまたはGFLX, fleroxacinの順であった。薬物濃度1および10μg/mLにおけるGFLXの結合率はそれぞれ66.9, 36.9%であった。 2. メラニン含有眼組織内GFLX濃度についてHPLCによる測定法を確立した。本法は, 6M水酸化カリウムの添加により組織をホモジナイズした後, 固相抽出による前処理を行い, HPLCにて分析するものである。分析操作におけるGFLXの回収率, 安定性は良好であり, 本法による実測値は放射能測定法による値とも一致した。 3. GFLX 30mg/kgを有色ウサギに, 1日1回, 14日間反復経口投与し, 最終投与後8週間までの眼組織内濃度推移を測定した。メラニン非含有組織からのGFLXの消失は速やかであった。虹彩・毛様体内GFLX濃度は最終投与後24時間で214μg/g, 網膜色素上皮・脈絡膜内GFLX濃度は最終投与後2時間で268μg/gの最大値をそれぞれ示した後, 半減期10.7および12.1日で緩慢に消失した。 以上のことから, GFLXは他のキノロン薬と同様, メラニンに対し親和性を有し, 有色ウサギのメラニン含有眼組織に高濃度で分布することが示された。また, メラニン含有組織に比較的長く留まるものの, メラニンに対する結合は可逆的であることが考えられた。
ISSN:1340-7007
1884-5886
DOI:10.11250/chemotherapy1995.47.Supplement2_166