三叉神経痛を主訴とした蝶形骨洞嚢胞の1症例

後部副鼻腔嚢胞は鼻症状の乏しいことが多く, その症状の大半は眼症状, 頭痛のように隣接組織に起因するものである。今回我々は30歳男性で持続する三叉神経痛を訴えた原発性蝶形骨洞嚢胞の1症例を報告した。本症例は脳神経外科を受診, MRIにて嚢胞が指摘され当科を紹介された。嚢胞は右蝶形骨洞から右翼口蓋窩および眼窩外側部に進展していた。内視鏡下鼻内手術にて嚢胞を開放すると三叉神経痛は消失した。三叉神経第2枝の刺激症状は嚢胞が翼口蓋窩へ浸潤していたためと推定された。後部副鼻腔, 翼口蓋窩のような深部組織の診断にはMRIが有用であると考えられた。とくに副鼻腔ではT2強調像を用いれば炎症性病変と腫瘍性病変の...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 37; no. 3; pp. 341 - 347
Main Authors 辻, 富彦, 山口, 展正, 関, 哲郎, 八代, 利伸, 太田, 史一, 島田, 千恵子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.06.1994
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo1958.37.341

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Summary:後部副鼻腔嚢胞は鼻症状の乏しいことが多く, その症状の大半は眼症状, 頭痛のように隣接組織に起因するものである。今回我々は30歳男性で持続する三叉神経痛を訴えた原発性蝶形骨洞嚢胞の1症例を報告した。本症例は脳神経外科を受診, MRIにて嚢胞が指摘され当科を紹介された。嚢胞は右蝶形骨洞から右翼口蓋窩および眼窩外側部に進展していた。内視鏡下鼻内手術にて嚢胞を開放すると三叉神経痛は消失した。三叉神経第2枝の刺激症状は嚢胞が翼口蓋窩へ浸潤していたためと推定された。後部副鼻腔, 翼口蓋窩のような深部組織の診断にはMRIが有用であると考えられた。とくに副鼻腔ではT2強調像を用いれば炎症性病変と腫瘍性病変の鑑別が可能である。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo1958.37.341