脳循環障害によると考えられる耳鳴症例の検討

脳循環障害による耳鳴症例はかなり多いと予想されるが, そういった循環障害の診断根拠となる所見は得られていない。無症候性脳梗塞の存在, 脳梗塞の既往, 中枢障害を示唆する眼振所見, 血圧およびその変動から, 椎骨脳底動脈系の循環障害が想定された耳鳴症例につき, その臨床像を明らかにすべく, 治療による経過を含めて検討した。 初診時, オージオグラム上認められた, 両側ほぼ同等の低音部の低下は, 椎骨脳底動脈系の循環障害の可能性が示唆される所見であり, また, 循環改善剤に反応しやすいことから, 循環障害による耳鳴症例の治療効果をみる指導にもなり得ると考えられた。...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 40; no. 6; pp. 624 - 629
Main Authors 田中, 聖, 鎌田, 英男, 伊藤, 文英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.12.1997
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo1958.40.624

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Summary:脳循環障害による耳鳴症例はかなり多いと予想されるが, そういった循環障害の診断根拠となる所見は得られていない。無症候性脳梗塞の存在, 脳梗塞の既往, 中枢障害を示唆する眼振所見, 血圧およびその変動から, 椎骨脳底動脈系の循環障害が想定された耳鳴症例につき, その臨床像を明らかにすべく, 治療による経過を含めて検討した。 初診時, オージオグラム上認められた, 両側ほぼ同等の低音部の低下は, 椎骨脳底動脈系の循環障害の可能性が示唆される所見であり, また, 循環改善剤に反応しやすいことから, 循環障害による耳鳴症例の治療効果をみる指導にもなり得ると考えられた。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo1958.40.624