慢性副鼻腔炎の内視鏡下鼻内手術の評価 膜様部の保存手術について

慢性副鼻腔炎に対して, 硬性内視鏡下に, より保存的な鼻内手術が好成績をもたらすかどうかを検討した。すなわち, 上顎洞膜様部を保存した群と, 従来の術式に従って膜様部を切除して大きく開大した群との術後成績について比較した。両群の術前の重症度は有意差がなかったが, 術後の上顎洞のX線所見, 自覚症状の改善度は, いずれも膜様部保存群より膜様部切除群の方が優れていた。 内視鏡下の的確な手術操作にもかかわらず, 膜様部保存群では上顎洞粘膜の治癒機転が遷延している所見が認められた。したがって, 慢性副鼻腔炎の鼻内手術においては上顎洞膜様部は切除・開大処置を行い, 保存的に処置しない方が好成績を得られる...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 36; no. 6; pp. 735 - 740
Main Authors 佐野, 真一, 堀内, 博人, 小澤, 仁, 春名, 真一, 森山, 寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.12.1993
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo1958.36.735

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Summary:慢性副鼻腔炎に対して, 硬性内視鏡下に, より保存的な鼻内手術が好成績をもたらすかどうかを検討した。すなわち, 上顎洞膜様部を保存した群と, 従来の術式に従って膜様部を切除して大きく開大した群との術後成績について比較した。両群の術前の重症度は有意差がなかったが, 術後の上顎洞のX線所見, 自覚症状の改善度は, いずれも膜様部保存群より膜様部切除群の方が優れていた。 内視鏡下の的確な手術操作にもかかわらず, 膜様部保存群では上顎洞粘膜の治癒機転が遷延している所見が認められた。したがって, 慢性副鼻腔炎の鼻内手術においては上顎洞膜様部は切除・開大処置を行い, 保存的に処置しない方が好成績を得られることが示唆された。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo1958.36.735