外耳道圧負荷に対する鼓膜変位と聴力変動

周囲に気圧の変化が生じた際, 耳閉感とともに聴覚の異常を感じることがある。そこで外耳道圧負荷時に鼓膜および聴力に生じる影響について知る目的で, 正常7耳に対し, 外耳道に段階的に陽圧・陰圧負荷を行い, 鼓膜の変位の観察と聴力の測定を行った。 陽圧, 陰圧負荷のいずれにおいても鼓膜は弛緩部, 後上象限を中心に大きく変位した。負荷圧が0-+50daPa, 0--50daPaの範囲では, すでに鼓膜が大きく変位しているにもかかわらず, 明らかな聴力閾値の変化は認めなかった。5dB以上の聴力閾値の変化には, 陽圧・陰圧負荷とも絶対値にして60-160daPaの負荷圧を必要とした。 弛緩部, 後上象限の...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 43; no. 6; pp. 498 - 506
Main Authors 毛利, 光宏, 佐古田, 一穂, 天津, 睦郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.12.2000
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo1958.43.498

Cover

More Information
Summary:周囲に気圧の変化が生じた際, 耳閉感とともに聴覚の異常を感じることがある。そこで外耳道圧負荷時に鼓膜および聴力に生じる影響について知る目的で, 正常7耳に対し, 外耳道に段階的に陽圧・陰圧負荷を行い, 鼓膜の変位の観察と聴力の測定を行った。 陽圧, 陰圧負荷のいずれにおいても鼓膜は弛緩部, 後上象限を中心に大きく変位した。負荷圧が0-+50daPa, 0--50daPaの範囲では, すでに鼓膜が大きく変位しているにもかかわらず, 明らかな聴力閾値の変化は認めなかった。5dB以上の聴力閾値の変化には, 陽圧・陰圧負荷とも絶対値にして60-160daPaの負荷圧を必要とした。 弛緩部, 後上象限の変位が大きい理由としては, 組織構造の違い, 骨性鼓膜輪の有無などが考えられた。また, 外耳道圧負荷により生じる鼓膜自体の変位は, 聴力に対して影響を及ぼさないと結論された。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo1958.43.498