泌尿器科領域におけるbalofloxacinの基礎的・臨床的検討
新規ニューキノロン系薬剤balofloxacinの尿路感染症由来菌に対する抗菌力ならびにその臨床効果を検討した。 1) 抗菌力: 尿路感染症由来教室保存株14菌種210株に対する本剤のMICを測定し, 同系薬剤であるofloxacin (OFLX) およびnorfloxacin (NFLX) の抗菌力と比較検討した。 本剤のグラム陽性菌に対する抗菌力は比較対照薬剤に比し優れており, グラム陰性菌に対しては, 全体として, OFLXには若干劣るものの, NFLXとほぼ同等の抗菌力を示した。 2) 臨床効果: 急性単純性膀胱炎4例, 複雑性尿路感染症6例および急性細菌性前立腺炎1例に対し, 本剤を...
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Published in | 日本化学療法学会雑誌 Vol. 43; no. Supplement5; pp. 324 - 329 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本化学療法学会
27.11.1995
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Subjects | |
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ISSN | 1340-7007 1884-5886 |
DOI | 10.11250/chemotherapy1995.43.Supplement5_324 |
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Summary: | 新規ニューキノロン系薬剤balofloxacinの尿路感染症由来菌に対する抗菌力ならびにその臨床効果を検討した。 1) 抗菌力: 尿路感染症由来教室保存株14菌種210株に対する本剤のMICを測定し, 同系薬剤であるofloxacin (OFLX) およびnorfloxacin (NFLX) の抗菌力と比較検討した。 本剤のグラム陽性菌に対する抗菌力は比較対照薬剤に比し優れており, グラム陰性菌に対しては, 全体として, OFLXには若干劣るものの, NFLXとほぼ同等の抗菌力を示した。 2) 臨床効果: 急性単純性膀胱炎4例, 複雑性尿路感染症6例および急性細菌性前立腺炎1例に対し, 本剤を1回量100ないし200mg, 1日1ないし2回, 3から8日間投与し, UTI薬効評価基準に準じて臨床的検討を行った。急性単純性膀胱炎症例では判定可能であった3例のうち2例が著効, 1例が有効であった。複雑性尿路感染症に対しては著効3例, 有効1例, 無効1例であった。急性細菌性前立腺炎の1例に対しては有効であった。複雑性UTIにおける細菌学的効果では12株中11株が消失し, 除菌率は91.7%であった。 3) 副作用: 自・他覚的副作用は, 1例も認めず, 臨床検査値の異常変動も認められなかった。 以上の成績より, 本剤は尿路感染症に対する有用性が示唆された。 |
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ISSN: | 1340-7007 1884-5886 |
DOI: | 10.11250/chemotherapy1995.43.Supplement5_324 |