ABO (H) 血液型物質と睾丸腫瘍 予報
細胞表面糖蛋白質と胎発生との関係をみるため, および睾丸腫瘍のマーカーを見出すために, 特異的赤血球被着試験 (SRCA) を, 20例の睾丸腫瘍患者に対して行つた. SRCAは Davidsohn により開発発展された方法で, ホルマリン固定パラフィン包埋組織中で糖蛋白や糖脂質である血液型物質を検出することができる. O型の患者は除外した. 腫瘍の組織型は, 精上皮腫14例, 胎児性癌5例, 卵黄嚢腫瘍1例, 絨毛上皮癌2例, 奇形腫2例, 横紋筋肉腫1例である. 精上皮腫, 絨毛上皮癌はすべて赤血球被着がなくSRCA陰性卵黄嚢腫瘍, 胎児性癌は一見陽性であるが, 詳しくみると赤血球が細胞周...
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Published in | 日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 71; no. 8; pp. 941 - 944 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本泌尿器科学会
20.08.1980
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Summary: | 細胞表面糖蛋白質と胎発生との関係をみるため, および睾丸腫瘍のマーカーを見出すために, 特異的赤血球被着試験 (SRCA) を, 20例の睾丸腫瘍患者に対して行つた. SRCAは Davidsohn により開発発展された方法で, ホルマリン固定パラフィン包埋組織中で糖蛋白や糖脂質である血液型物質を検出することができる. O型の患者は除外した. 腫瘍の組織型は, 精上皮腫14例, 胎児性癌5例, 卵黄嚢腫瘍1例, 絨毛上皮癌2例, 奇形腫2例, 横紋筋肉腫1例である. 精上皮腫, 絨毛上皮癌はすべて赤血球被着がなくSRCA陰性卵黄嚢腫瘍, 胎児性癌は一見陽性であるが, 詳しくみると赤血球が細胞周辺に認められるのみで, 細胞上にはないため疑陽性. 奇形腫では, 皮膚, 毛髪, 腺上皮細胞は陽性で軟骨や結合組織は陰性であり, 胎児組織と同様のSRCA結果を示した. また横紋筋肉腫は陰性であつた. |
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ISSN: | 0021-5287 1884-7110 |
DOI: | 10.5980/jpnjurol1928.71.8_941 |