新キノロン系抗菌薬gatifloxacinの高齢者における体内動態

新キノロン系抗菌薬gatifloxacin (GFLX, AM-1155) の高齢者における体内動態を, 74~86歳の感染症患者5名において検討した。本薬剤100mgを単回服用後, 血清中未変化体は速やかに (0.39~4.74h) ピーク濃度 (0.91~1.36μg/mL) に達し, 以後10.4~17.0時間の半減期 (T1/2β) で消失した。48時間までの未変化体の尿中排泄率は44.4~67.6%であった。被験者間では, クレアチニン・クリアランスの低下と共に, 血清中濃度-時間曲線下面積 (AUC0~∞) は増加し, 逆に見かけの全身クリアランス (CLT/F), 腎クリアランス...

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Published in日本化学療法学会雑誌 Vol. 47; no. Supplement2; pp. 230 - 237
Main Authors 青木, 信樹, 柴, 孝也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 27.09.1999
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ISSN1340-7007
1884-5886
DOI10.11250/chemotherapy1995.47.Supplement2_230

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Summary:新キノロン系抗菌薬gatifloxacin (GFLX, AM-1155) の高齢者における体内動態を, 74~86歳の感染症患者5名において検討した。本薬剤100mgを単回服用後, 血清中未変化体は速やかに (0.39~4.74h) ピーク濃度 (0.91~1.36μg/mL) に達し, 以後10.4~17.0時間の半減期 (T1/2β) で消失した。48時間までの未変化体の尿中排泄率は44.4~67.6%であった。被験者間では, クレアチニン・クリアランスの低下と共に, 血清中濃度-時間曲線下面積 (AUC0~∞) は増加し, 逆に見かけの全身クリアランス (CLT/F), 腎クリアランス (CLR) 及び尿中排泄率はいずれも低下する傾向にあった。既報の健常成人 (21~38歳) における成績と比較して, 高齢者ではAUC0~∞が増加し, T1/2βも延長していた。このT1/2βの延長は, CLRの低下, 並びにそれに伴うCLT/Fの低下によるものと考えられた。反復服用時における血清中濃度の予測から, 腎機能が低下した高齢者では, 本薬剤100mgの1日2回の服用が適正な用法・用量と推察された。高齢者においては腎機能に注意し, その低下が予想される場合には本薬剤の1回服用量を減量するなど, 慎重な投与を行うべきであろう。
ISSN:1340-7007
1884-5886
DOI:10.11250/chemotherapy1995.47.Supplement2_230