原発性上咽頭結核の1症例

上咽頭結核は, 抗結核薬の登場による肺結核の減少に伴って昭和30年代以降激減したが, 近年診断技術の進歩によりその報告例は少数ながら増加傾向にある。われわれは, 肺に結核病変のない原発性上咽頭結核の1例を経験した。 症例は69歳の女性。胃癌 (Stage IIIA) に対して胃全摘出術を施行された6ヵ月後に咽頭痛が出現し, 当科を受診した。上咽頭天蓋から後壁にかけて白苔を伴う表面粗な隆起性病変を認めた。頸部リンパ節腫脹は認めなかった。生検により上咽頭結核と診断した。ツベルクリン反応は強陽性であったが, 肺に結核病変を認めなかった。喀痰の塗沫および培養検査は陰性であった。上咽頭腫瘤から得た擦過標...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 47; no. 6; pp. 448 - 452
Main Authors 堀内, 長一, 吉田, 高史, 松田, 秀樹, 佃, 守
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.12.2004
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo1958.47.448

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Summary:上咽頭結核は, 抗結核薬の登場による肺結核の減少に伴って昭和30年代以降激減したが, 近年診断技術の進歩によりその報告例は少数ながら増加傾向にある。われわれは, 肺に結核病変のない原発性上咽頭結核の1例を経験した。 症例は69歳の女性。胃癌 (Stage IIIA) に対して胃全摘出術を施行された6ヵ月後に咽頭痛が出現し, 当科を受診した。上咽頭天蓋から後壁にかけて白苔を伴う表面粗な隆起性病変を認めた。頸部リンパ節腫脹は認めなかった。生検により上咽頭結核と診断した。ツベルクリン反応は強陽性であったが, 肺に結核病変を認めなかった。喀痰の塗沫および培養検査は陰性であった。上咽頭腫瘤から得た擦過標本の結核菌DNA-PCR検査は陽性, 培養検査で結核菌が検出された。イソニアジド (INH), リファンピシン (RFP), エタンブトール (EB), ピラジナミド (PZA) の4剤併用療法により上咽頭の病変は消失した。上咽頭擦過標本の結核菌DNA-PCR検査も陰性化した。 最近本邦で報告された上咽頭結核症例について, 文献的考察を加えて報告した。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo1958.47.448