両側性鼻腔inverted papillomaの1例

慢性副鼻腔炎の術前診断のもとに副鼻腔根本手術を施行したところ, 両側のinverted papillomaとの診断を得た1例を報告した。患者は50歳男性, 約2ヵ月来の両鼻閉を主訴に来院した。両側中鼻道に基部を有する半透明のポリープ様腫瘤と膿性鼻汁を認め, CTにても病的な骨破壊などを認めず慢性副鼻腔炎の所見と一致した。Caldwell-Luc法に準じた副鼻腔根本手術を施行した結果, 両側鼻腔腫瘤および右節骨洞粘膜の一部からinverted papillomaとの病理診断を得た。悪性所見はなかった。Invertedpapillomaは両側性に発生することは稀であり, 両側性かつ骨破壊がなく二次...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 41; no. 4; pp. 359 - 363
Main Authors 待木, 健司, 草刈, 潤, 秋月, 浩光, 原, 晃
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.08.1998
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo1958.41.359

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Summary:慢性副鼻腔炎の術前診断のもとに副鼻腔根本手術を施行したところ, 両側のinverted papillomaとの診断を得た1例を報告した。患者は50歳男性, 約2ヵ月来の両鼻閉を主訴に来院した。両側中鼻道に基部を有する半透明のポリープ様腫瘤と膿性鼻汁を認め, CTにても病的な骨破壊などを認めず慢性副鼻腔炎の所見と一致した。Caldwell-Luc法に準じた副鼻腔根本手術を施行した結果, 両側鼻腔腫瘤および右節骨洞粘膜の一部からinverted papillomaとの病理診断を得た。悪性所見はなかった。Invertedpapillomaは両側性に発生することは稀であり, 両側性かつ骨破壊がなく二次的に炎症が加わった場合, 術前診断とくに慢性副鼻腔炎との鑑別が困難となる。また限局例に対する治療方針は経上顎洞的摘出や内視鏡手術なども試みられており未だ多くの議論がある。自験例に関しては今後第一に厳重な経過観察を行い, 再発時には拡大切除術を行うことが現実的な方針と思われた。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo1958.41.359