煎出時における生薬の吸水量に関する検討

生薬の多くは吸水性であり, 煎じた際には水分を吸収して煎液収量に影響を与える。そこで, 煎剤作製時における個々の生薬の吸水量を検討した。検討する生薬は頻用処方を構成する75種類とした。煎じ容器に水道水600mlを入れて力口熱して沸騰後に各生薬10gを力口え, 70分間煎じた後に60分間静置し, その後再度20分間力口熱した。生薬を力口えた時間を0分とし, 10, 20, 30, 40, 60, 130, 150分後の吸水量を測定した。また, 各時点での吸水量における最大値を, その生薬の最大吸水量とした。植物生薬における最大吸水量は, 最大値は菊花の69.10g, 最低値は桃仁の3.26gであ...

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Published in日本東洋医学雑誌 Vol. 54; no. 1; pp. 199 - 208
Main Authors 伊藤, 隆, 寺澤, 捷年, 松浦, 伸, 柴原, 直利, 伏見, 裕利, 嶋田, 豊, 小暮, 敏明, 後藤, 博三
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本東洋医学会 20.01.2003
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ISSN0287-4857
1882-756X
DOI10.3937/kampomed.54.199

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Summary:生薬の多くは吸水性であり, 煎じた際には水分を吸収して煎液収量に影響を与える。そこで, 煎剤作製時における個々の生薬の吸水量を検討した。検討する生薬は頻用処方を構成する75種類とした。煎じ容器に水道水600mlを入れて力口熱して沸騰後に各生薬10gを力口え, 70分間煎じた後に60分間静置し, その後再度20分間力口熱した。生薬を力口えた時間を0分とし, 10, 20, 30, 40, 60, 130, 150分後の吸水量を測定した。また, 各時点での吸水量における最大値を, その生薬の最大吸水量とした。植物生薬における最大吸水量は, 最大値は菊花の69.10g, 最低値は桃仁の3.26gであり, その平均値は22.51±13.00gと個々の生薬の吸水量には大きな差を認めた。多くの生薬では吸水量が煎じ開始10分後あるいは20分後に最大吸水量の80%以上を示したが, 煎出時間とともに漸増を示す生薬もみられた。
ISSN:0287-4857
1882-756X
DOI:10.3937/kampomed.54.199